KuToo運動に見る、常識を疑う目線-慣習はあっているのか-

2019年7月19日

空の勇者たち

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#KuTooが盛り上がりを見せているそうですね。
仕事にかかわる服装で苦痛を感じているなら、仕事に対して身が入らなかったり効率よく仕事をすることが難しくなってしまうかもしれません。
世の中の慣例を見直して働きやすい環境にしていくことはとても大事なことです。

7月9日の記事

ドコモは20年10月をめどに全国のドコモショップの制服を刷新する。現在、女性店員が履く靴はヒール高3・5センチメートルと6・5センチメートルからの選択制。同社は約4年に1度の制服刷新のタイミングに合わせてパンプスやヒールを撤廃、一律スニーカーとする予定だ。さらに足元だけでなく、カジュアルなジャケットやパンツスカートへの切り替えも検討し、制服全体を改良する。

出典: newswitch.jp

・ドコモショップの制服の靴はヒールの高さ3.5cmと6.5cmの選択制
・制服刷新のタイミングに合わせてヒールとパンプスを撤廃。一律スニーカーにする予定

というものがありました。

また他の大手ショップでも

・KDDIは全国12の直営店でスニーカー勤務を許可
・ソフトバンクは6月-10月の夏期にスニーカーを許可

というように靴に対する規定を緩和しています。

どこの職場でも格好の規定というものはありますが、靴を規定しているのは女性にだけという面があります。
この規定を大手が撤廃や緩和することで、働きやすさを実現しようとしています。

#KuTooとは

#KuTooの意味

職場でのパンプスやヒール着用の強制に異議を唱える活動

グラビアアイドルでライターの石川優実さんが体験した出来事に端を発した活動です。
働き方の効率や従業員の健康を無視した服装規定をすることで、辛い思いをしている主に女性の労働環境を改善することを目的としています。

署名活動をしていますので、興味がある方や署名をしたい方は
#KuToo 職場でのヒール・パンプスの強制をなくしたい!からどうぞ。

#KuTooの名前について

#KuToo(クトゥー)は「靴」と「苦痛」のもじりからきています。
また、性被害を訴える#MeToo(ミートゥー)にもかけて、「私も靴で苦しんでいます」というメッセージ性があります。

パンプスやヒールの被害

パンプスやヒールを履くとどのような影響があるのでしょうか。

足先への負担


パンプスやヒールはかかとが高いので、靴の中に傾斜が出来ます。
すると、靴の中で足が滑って、足の先端に負担がかかります。

ぺったんこの靴ならば、足の裏に均等に力がかかるので、パンプスやヒールに比べて疲労度が少ないです。

・傾斜があることによって足の先端に負担がかかる
・骨のゆがみや血行不良が起こる
・足が痛くなる

バランスの悪さで足や腰に負担がかかる


パンプスやヒールはその形状の美しさのために、ヒールが細くなっていますよね。

そのヒールの上に体重を乗せないとグラグラしてしまって安定しません。
安定していないと、安定させるために上半身を使ったりひざや足を使ったりしてバランスを保とうとします。

それが一時的なものなら良いのですが、靴を履き続けている間、常時バランスをとっているという事もあります。
そうすると、人によっては、意識しないうちに変な体勢や余計な力が入ることになり、それが続くと足や腰に負担がかかることになります。

靴の幅に合わせてヒールが幅広になっていればいいのですが、見た目のイメージのせいか中々こういうタイプはありませんね。
男性の革靴はヒールの部分が幅広になっているので、不安定さを感じることはないのではないでしょうか。
いつも安定しているから女性のヒールの不安定さに気づけることが少ないのではと思います。

・ヒールの幅が狭いので不安定
・不安定を解消するために腰や足を通常とは違う体勢にさせる
・長い間続くと足や腰の負担になってくる

足が変形する


窮屈な靴を履き続けていると、それによって足の形状が変化していくこともあります。
外反母趾(がいはんぼし)になったりすると、治すのに時間もかかりますし、ひどくなると歩行障害が起こることもあります。

・足に負荷がかかりすぎると形状が変化する

パンプスやヒールが推奨される理由

歩き回ることには不向きそうではありますが、なぜか着用が推奨されている職場が多いと思います。
リクルートスーツに身を包んだ女子大生も足元を見ればパンプスが多い、というかほぼパンプスですね。
なぜこのようなことになったのか見てみましょう。

見た目のイメージから

ヒールのある靴を履くことで、身長が高く見え、スマートに見えます。
また、ヒールを履くと身体の構造上、ふくらはぎが引き締まるので、それにつれて、足がすっきり見えるのです。

スマート=清潔感や仕事が出来そう感というイメージを与えています。
もちろん、イメージと仕事の実務の間に因果関係はないので、どんな格好をしていようとパフォーマンスは変わりません。
しかし、対人で仕事をする職業などは一発目の見た目が勝負というところもあって、イメージを悪くしないという事が重要になってきます。

右にならえから

実は真っ黒リクルートスーツの形体が定まったのは2003年以降。21世紀の産物なのだ。

中略

21世紀になってじわじわとルールが作られ、それが上書きされ続けることによって具体的決まりが細かく設定されるようになっていった。誰もがそんな経緯を知るよしもなく、「しきたり」なんだからちゃんとそれに従おうと率先して作法を倣うことが、余計にこうしたルールを絶対的なものとさせ、そうした学生の風潮もあって、新しいマナーが次々と見いだされ、年々厳格になる一方だというのが、リクルートパンプス問題の顛末なのである。

出典: blogs.yahoo.co.jp


いつの頃からかはわかりませんが、リクルートでパンプスが定番となりましたが、それも2000年代に入ってから作られた作法とのことです。

今までの作法の歴史を知らない身からしたら、直近で正しいと言われている事には従っておこうと思うかと思います。
それが地域的なものではなく、全国規模でそうなっているのなら、ますますそこから外れるわけにはいかないという気持ちになるでしょう。

もちろん、日本的な考え方で「足並みをそろえる」とか「出る杭は打たれる」とかありますので、みんながやっているのと違うことをすると損をするというイメージもあります。

他の会社もそうなっているからうちもこういう規定にしておこうという発想がないとも言えませんね。

職務の実態と合っていないことが問題

必要ない場面でもルールで縛っている

靴などは仕事に合ったものを着用すべきですが、見合わない服装になって弊害が出ていることに問題があります。

例えば、工事現場で安全靴を履いてこいと言われて、「それはおかしい」と思う人はいないと思います。
安全靴の機能と、危険がある工事現場という組み合わせは、靴の機能がきちんと生きて、身を守ることにつながっているという実感があるからです。

事務の内勤ばかりで出社と退勤時にしか人と会わないような職場でも、パンプスやヒールを履いてくることを求めても合理性に欠けてしまいます。
イメージを与えるような人の出会いがなければ苦労してパンプスを履いてきても意味がないからです。

出退勤時にスマートなイメージを与えようとしても、足を痛めてつらそうに歩いている人もいるかもしれません。
また、足が痛くて日中の仕事が手につかない人もいるかもしれませんね。

「社会人の服装はこういうものだ」と型にはめていたら、実態から遠ざかっていたという事なのかもしれません。

今回の#KuTooの話やニュースも「パンプスを履きたくない!」という話ではなくて、見かけのマナーを優先するよりも仕事に合った服装を許容したり、健康に気を遣ってほしいという願いからきています。

こう書くとまた「マナーをないがしろにするのか」という話になりそうですが、もちろん服に気を遣うべき場面では気を遣うことが大事です。
必要ない場面なのに、ルールに縛られて、生活や仕事が大変になるのを避けようという話です。

クールビズは取り入れた

服装の改革というと、もうすっかりおなじみになったクールビズがあります。
暑い季節の省エネなどを目的に、企業ごとによりますが、ラフな格好(主にノーネクタイ・ジャケットなし)で仕事をしようというものです。

ネクタイをするのがマナー。むしろスーツ姿がマナーという考えになっていましたが、案外すぐに取り入れられたのではないでしょうか。

真夏にスーツでネクタイをしたことのある人ならわかるかと思いますが、スーツにネクタイというのはかなり不合理です(笑)
不合理ですが、新人の頃はどの程度が失礼になるのかわからないので、「失礼ではないだろう服装」としてスーツを選んでしまいます。

それがずーっと続いてきましたが、2005年の導入開始当初から広く受け入れられ認知されたように思います。
合理的であれば受け入れられる前例ではないでしょうか。

女性差別からきている?

同じ仕事をしているのに、女性にのみ、服装規定を設けていることについて女性差別と考える人もいるでしょう。
「女性なんだからパンプスやヒールを履くべきだ」という考えならば、女性差別に当たるかもしれません。
性差によってルールを変えているのですから。

しかし、積極的な女性差別ではなく、なんとなく女性はこうだろうという思い込みからくるものが原因かもしれません。
ぼくも、多くの女性がパンプスを履くのは好んで履いていると思っていましたが、KuToo運動が盛んになっているのを見ると、そうでもなく、むしろつらいと思っている人がかなりの数を占めていることが分かります。

ぼくの「女性はパンプスを好んで履いている」という思い込みには女性差別の意図は全くありませんが、結果として女性差別につながっている面もあります。
実態とは違う思い込みをして、そのイメージに女性を当てはめているからです。

このきちっと規定しないなんとなくの定義はものすごく日本的なものを感じますが、そこで苦しんでいる人がいるならば、きちんと定義して解消しなければなりません。

ネットでは実践する男性も

KuTooの運動が始まってから実際に自分でヒールを体験する人も出始めています。


男が初めてヒール履いてみて思ったことは
・歩きづらい(履き慣れてないだけかも)
・とにかく痛い
・座って休みたい
の3点でした

見た目はすごく素敵なので履きたい人は履けば良いと思います。
ただ、履くことを「強制」するのは良くないとも感じます。

出典: twitter.com

ヒールが辛いのは本当か?男が実際に履いて検証! https://youtu.be/xAy36mtn63Q
9cmヒールパンプスを履いて一日歩き回ると、こーなります。
足先、足首、腰、全身が痛くなります。

足の甲は腫れ上がりました。
右足親指が内出血。
5/18日でしたが、1ヶ月半経っても元に戻らにゃい。
#KuToo

出典: twitter.com

みなさん実際に体験することで、パンプスやヒールを履くことの大変さを実感されています。

常識は変わっていきます。

世の中の常識と呼ばれるものは、その時代での大多数の意見というだけで、変化していくものです。
しかし、権威や慣例にすがって「こうあるべきだ」「こうでなければならない」というしきたりやルールは随所で見られます。

それを何も考えずに受けいれて続けていくのか、意味をよく考えて続けていくのかというのでは差が出てきます。
今回の「女性だからといってパンプスやヒールを履くのはおかしいのでは?」という考えは常識を疑うところがきっかけかと思います。

おかしいと思う人が多ければ、それが新しい常識となっていくでしょう。
ただ、その時に、それが正しいのかという検証も必要となってきます。

数が多いからとほいほい認めていては、数の暴力が実行されてしまうからですね。
今回のKuTooでは、いろんな意見が出ていて、いろんな方面に飛び火していたりします。

「大きな問題提起だ!」という人もいれば、「どうでもいい」という人もいて温度差があります。

いろんな問題に絡めてますが、労働環境がちょっとだけよくなりはしないか?という視点で見れば、必ずしもパンプスやヒールは必要ではないと思いますね。

今後の動向を見ていきたいと思います。



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