啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の第10話「幾山河」のネタを解説

2020年7月2日




啄木鳥探偵處の第10

話の解説をしていきます。

信頼してくれる友人っていいですね。

解説は個人的な感想ですので、間違いがあればご容赦くださいませ。

第十首 幾山河

芥川
「鬼の霍乱(かくらん)」

鬼の霍乱とは、いつも健康で元気な人が体調を崩すといった意味合いです。

鬼は強く、病気などにはならなさそうなイメージですが、それでもたまには病気になって寝込むこともあることから。

 

霍乱とは日射病を指す言葉。
あるいは夏に起きやすい吐き気・下痢を伴う病気の事を言います。
鬼の霍乱は体調の事を指すことが多いのですが、ここでの芥川の真意としては「いつもはお金を借りるばかりなのに急にお金を返している」という「いつもとは違う状態」を指しています。
啄木
「森田君の『煤煙』が評判になったでしょう」

森田草平の「煤煙」という作品

夏目漱石の門下生の一人。

平塚明子(平塚らいてう)との心中未遂を小説としたものが「煤煙」

平塚明子は官僚の令嬢という、名の知れた人物でしたので心中未遂を起こしたことが世間に知れ渡っており、かつ、その出来事が小説化されたとなれば、注目されるのは当然の流れでした。


で、この煤煙の小説化は夏目漱石が勧めて実現したものですが、夏目漱石は朝日新聞社に務めており、森田草平を嘱託員として雇います。
その時、石川啄木も朝日新聞社に勤めていたので、森田と啄木の二人の間には親交があったのです。

金田一
「露悪的なのは気に入らないって」
露悪的というのは、悪いことをさらけ出すようなこと。
煤煙では「心中」を扱っていますが、心中というのは一般的には良くないこととされています。
それを広めるような小説をが流行るというのはよくないと啄木は考えていたのでしょう。
啄木
「社会を変えうる力を持たなければ書いても無意味です。」
環さんの言葉と前回読んでいたクロポトキンの「青年に訴う」の影響で社会の役に立つことをしたいと考えるようになっています。
啄木
「歌なんて所詮は趣味です。男子一生の仕事ではありません」

1908年に夏目漱石が「新潮」に「文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎(ぶんげいはだんしいっしょうのじぎょうとするにたらざるか)」という文を寄せています。

「文芸をやることは一生の仕事として就くに値する」と文中で夏目漱石は言っています。

 

ただし、それもある基準によってみれば、見方は変わると書いてあり、健康な体を使って働くのが偉いとするなら体を活かした「労働者」として働いた方が偉いとなるし、お金を稼ぐのが偉いという基準なら「実業家」が偉いと言っています。

 

啄木はおそらくこれを読んでいたので「男子一生の仕事」と口にしています。

この時の啄木は「自分の能力を他人のために役立てる」ことに基準をおいていたので、歌に対する価値観が下がっていたのだと思われます。

才能はあると周りからは言われながら、ぱっとした業績を残せていないという事もありましたし、歌が人に与える影響というものを啄木自身が信じていなかったのかもしれませんね。

このあと、若山牧水の歌を聞いて、自身が岩手にまで行くという行動させられたことを考えるとなんだか皮肉なものです。

「文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎」は青空文庫にあるので興味のある方はこちらのリンクからどうぞ。

青空文庫-文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎

園部の持っているたばこ
国華

戦前に売られていたたばこ。口付たばこという種類で、口元の部分にはフィルターがなく、ストローのようになっています。
アニメではよく見ると空洞になっているように見えなくもないですね。
なので、そのまま吸うと、巻いたたばこの葉が口の中に入ってきてしまいます。

吸う時は、歯でそのストローの部分を噛んで平たくして、タバコの葉を流入させず、煙を吸う仕様になっています。

啄木の自傷行為

 

また、実際に自傷行為をしていたようで、その時は胸付近を傷つけていたそうです。
その後、金田一とご飯を食べに行っています。

幾山河(いくやまかわ)
越えさり行かば
寂しさの
終(は)てなむ国ぞ
今日も旅ゆく

どれだけの山河をこえ、旅を重ねていけば、自分の寂しさを埋めてくれるような土地があるのだろうか。そんな気持ちを胸にして今日も旅をしている、という事ですが、旅の先の新天地を求める気持ちが希望を感じさせます。

でも、この歌を聞いて、啄木も金田一も旅の果てに結局は自身のふるさとこそが寂しさを埋める地なのだと感じたのでしょうね。

啄木の来た場所
おそらくは盛岡城跡。
そして駅から降りた時に見える山は岩手山。

盛岡城跡

岩手山

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