家を出る時は準備万端と思っても、電車に乗ったりした途端に「あっ、今日はあれを持ってくるんだった」と思いだして、取りに帰ると遅刻してしまう…。
そんなことを経験した人はかなりいるんじゃないでしょうか。
忘れ物をしないような対策についてみていきましょう。
Contents
なぜ忘れていくのか
どうして人はものを忘れていくのでしょうか。
諸説あり、これが正解というのが解明されていないようです。
記憶の減衰説
記憶の干渉説
検索失敗説
記憶の抑圧説
記憶の減衰説
なじみのないことは定着せずに徐々に忘れていく説。強く記憶に残ったり、結び付いた事柄は残りやすい。
例えば、物語などは、筋として前後が関連しているので一度聞いた話でも大筋では話すことが出来る。
ただし、登場人物がどういったセリフを言ったかという細かいことは省略されるので思い出すことが出来ない。
鶴の恩返しってどんな話だっけ?
おじいさんがデバガメしたことにショックを受けた若い娘を取り逃がす話☆
曲解がひどい
記憶の干渉説
記憶は情報と情報が影響しあい、それによって忘れていく説。
例えば、一週間の予定が水曜日に一つだけの場合より、一週間全てに予定が入っているほうが予定を忘れやすい。または全ての予定を覚えていることが難しい。
冷蔵庫に入っているシュークリーム食べていいんだったよな…。
お待ちなさい!それは私のシュークリームですよ!
さっきプリン食ったろーが?!
えっ、さっき食べたのは夕食でしょ?
そんな記憶の干渉はない
検索失敗説
記憶として頭の中に保存しているものの、それを引き出すとっかかりがなくて思い出せない説。
長年思い出せなかったことが、あるきっかけで思い出すことがあるのが根拠。
芸能人の顔を覚えているけど、名前が出てこない。名前を聞くと「そう、それ!」と思いだせる状態。
うーん
どうしたの?
さっき食べたやつの名前が思い出せなくて…
どんなの?
明るい黄色のふわっとした薄皮の中にカスタードクリームと生クリームのダブルクリームが内包され、柔らかい触感と、かぶりついたときに口の中に広がるカスタードクリームが口の中に口福をもたらす、さっきあなたに奪われたアレ
根に持ってんのか
記憶の抑圧説
俗にいうトラウマによる記憶の封印。思い出したくないことを思い出さないことで気持ちの平穏を保とうとする機能。
心の防御本能としての働きなので、この機能による記憶を思い出さないほうが良いこともしばしばあります。
苦しい…
大丈夫か?
黄色いフワフワのあれを食べ過ぎてもう思い出したくもない
こっちがトラウマだよ
忘れていくのは人として普通の事
物忘れによって、生活に困ることもあるかもしれませんが、忘れていくのは人として普通の機能です。
身の回りで起きたこと全てをずーっと覚えていたら、生きていくのが苦しくなることでしょう。
人生の中で楽しかったことと嬉しかったことのほかに悲しかったことや辛かったこともたくさんあると思います。
ネガティブな思いは強い気持ちなので、結構長く気持ちの中に残ってしまいます。
・あの人にひどいことを言われた
・また別の人にはひどいことをされた
・とんでもない失敗をして思い出すと苦しい
こんなことをずーっと覚えていたら、苦しい気持ちでいることになりますし、他人との人間関係もうまく築くことが出来なくなるかもしれません。
いさかいをしたことをいつまでも覚えていてそれが関係修復に歯止めをかけることになるかもしれないのです。
そう考えると、人の忘れるという機能も納得できますね。
緊張が解けると忘れる
持って行ったものを出先で忘れるということもあると思います。
これは、出かける前までは目的があってその場所に向かうわけですが、目的を達成すると安心して緊張が解けます。
そうすると緊張と一緒に行った行動も緊張がなくなることでつながりが薄くなるのです。
緊張と記憶が結び付いているというとわかりやすいでしょうか。
緊張というと大げさかもしれませんね。
いつもと違うと言い換えても知れません。
例えば、乗らなくちゃいけない電車に間に合わなさそうという時に駆け込んで乗車した
こんな場合はどうでしょう。乗車後はほっとしますよね。
ふぅー、と一息吐いてから手にした荷物を網棚に乗せる。
そして目的地に到着した後で、網棚の荷物を忘れてきたり、乗車の時にしまった切符が見当たらなかったりします。
乗らなくちゃという緊張が解けた時に行っていた行動を忘れてしまいます。
他には、雨の日の傘なんてどうでしょうか。
朝出かける時は、雨が降っているので、傘を持っていく。
学校や会社といった目的地に無事に着けた
これも安心感から傘の事は記憶から薄れていきます。
帰りに雨が降っていなかったり、傘置きが目につくところになければ
帰りに思い出さない人もいるのではないでしょうか。
人はずーっと緊張はしていられません。
緊張と弛緩を繰り返しています。
それだけ、忘れ物の機会も増えるということになります。
同時行動も記憶のつながりが弱くなる
記憶の干渉説にのっとった話になります。
やらなければいけないことややろうとしていることを複数同時に抱えている時も記憶のつながりが弱くなります。
例えば家から車で出かける時、以下のような行動をしています。
・持っていく荷物を忘れずに
・車のカギをもって
・家の鍵をかけて
・靴を履いて
・(運転にメガネが必要なら)眼鏡をかけて
・財布をもって
・荷物を車に入れて
・車で出かける
出かける予定が買い物で、買い物の事が頭を占めていた場合は、さらに考え事が多くなります。
そうすると同時に頭の中で覚えておくことが出来なくなるので、何かが欠けてしまいます。
上のようなシチュエーションで忘れ物をすることって多いのではないでしょうか。
ぼくは上のパターンだと家の鍵か荷物を忘れそうです。
メガネは通常時はかけていなくて、運転の時だけかけているので、運転とメガネが結び付いていてなかなか忘れません。
たくさんの事を同時に頭の中に留めておく場合に忘れ物に気をつけましょう。
忘れ物の対策
忘れ物と書きましたが、落とし物も含みます。
メモを取っておく
これはつまり、自分の記憶に頼らず、外部の記録に頼る方法です。
書かれたことを必ず実行、必ず持っていくことにすれば、忘れ物は基本的にはないはずです。必要なことを書き忘れるという事だけ注意しましょう。
また、メモをするための紙や筆記用具がないと「書かずに覚えておく」という行動をとってしまいますので、目につきやすいところ、リビングや玄関に置いておくとさっと書けて便利です。
手帳・カレンダーに書き込む
手帳の場合はいつでも見返すことが出来るので、メモする→見返すという習慣をつけることもできますね。
カレンダーの場合は、日めくりではなく、一か月が一枚になっているカレンダーがいいですね。このカレンダーに書き込みをすることで、目にする機会が多くなります。目にする機会が多くなるということは記憶の定着につながりますので、忘れにくくなる効果があります。
この時も、カレンダーと筆記用具が近い位置にあると書き込みやすくていいですね。
メモを取る時に声を出しながら書く
メモを書くという行為と一緒に声を出すという行動を起こし、更に発生した声を自分の耳で聞くことで耳にも記憶させるやり方です。
重複した経験は記憶と結び付きやすいです。
例えば、歌。昔聞いていた歌を今聞くと、その当時の記憶がよみがえってきたりしませんか?
例えば、匂い。コーヒー好きの人は、コーヒーを飲むときに、よく飲むときの風景を思い出したりしませんか?ぼくは仕事中にがぶがぶコーヒーを飲んでいるので、コーヒーを飲んでいると仕事を思い出してしまいます。
家にいる時、あまり大きな声で予定を読み上げると恥ずかしいですし、会社で同僚がいるところで「帰りに肉を買う」なんて宣言してもあれなので、読みあげる時は小声でいきましょう。
物理的につなげておく
出先でなくしそうな忘れ物っていつも身に付けているものが多いのではないかと思います。
財布、スマホ、メガネなど、身に付けているのが当たり前、持っているのが当たり前、きちんとしまったはず…。
同じ動作を繰り返しているからこそ安心して確認しないということが発生してしまいます。
いつも持っているならじゃあ繋げておきましょうという話ですね。
これも、自分を信用しないという発想からきています。
ぼく自身がいい歳なので年々実感していますが、本当に忘れ物をするようになりました。ですから、みなさんも忘れ物に関しては自分を信用してはいけませんよ。
確認を習慣化する
席を立つときは、必ず財布とスマホを確認する、といったように面倒くさくても毎回同じ行動をして、習慣づけすることです。
でも、これは一回失敗しないと面倒くさくてやろうという気にならないかもしれません。
ぼくはスマホを何度も忘れてしまったので、なんとなくやり続けて、なんとなく習慣化できました。
これまでに6回くらい忘れて、全部出てきたのにはびっくりしました。人の親切に感謝です。
同じ場所に置いておく
整理整頓の基本のようなことですが、持っていくものを固定の場所に置いておくというのは大事ですね。
これはつまり、帰ったらその場所に置くという動作もセットで必要になるので、習慣づけが大切になります。
家のカギをいつも同じ場所にかけておくように、傘を傘立てに置くように、同じ場所に置いておくことでルーティーンのようになりますので忘れにくくなります。
身に付けるようなものも同じで、スマホは鞄の手前のポケット、家の鍵は右のポケット、財布はシリポケットのように決めておくとよいでしょう。
それが一連の行動になれば、忘れた時に違和感として知らせてくれます。
同じ場所に置くことも習慣にできるようにしましょう。
離れていても分かるようにする
これは忘れ物というより落とし物の対策になりますが、落とし物は自分からものが離れていって、それで所在が分からないという状態ですね。
上記のような「離れたらアラームを発する」、「最後に通信した周辺の地図を表示する」という機能を持った製品もありますので、こういうものを活用してみてもいいのではないかと思います。
上の商品はタグをなくしたくないものに付けておいて、スマホでアラームを鳴らしたり、地図を見たりするタイプです。
タグをつけっぱなしにしていても邪魔にならないものにはつけてもいいかもしれませんね。
まとめ
忘れ物はどうしても発生してしまいます。
でも、それは人の機能の一部ということを理解していれば、「自分はダメなんだ」と自己否定する必要はありません。
忘れ物が多ければそれに対応できる対策をすればよいだけなのです。
いろいろ試して、忘れ物が減らせるようになるといいですね。