以前の血圧の話でちょこっとでたお酢の話がありましたが、覚えていますでしょうか。
ぼくはすっかり忘れていました。
歳を取ると健康的な食べ物を食べよう!と常々思うようになりますが、じゃあ健康的な食べ物って何だろうと思うことありますよね。
そして、酢が何となく体にいいようなイメージを持っているのではないでしょうか。
持っているけど、何の効果があるのか全く分かりません。
今回は酢についてどんな効果があるのか見ていきましょう。
Contents
酢の種類
お酢って、スーパーに行くと表示が色々あって、よくわからないんだけど…。
寿し酢や米酢、穀物酢、醸造酢とか…。これって酢だから同じものなのかなぁ…。
食酢品質表示基準による食酢の分類は以下のような表になっています。
・醸造酢
・合成酢
・加工酢
加工酢って表示基準の分類の中になくない?
そういったものも見ていきましょう。
醸造酢
醸造酢は糖類(でんぷん)を発酵させたものです。
これはまずお酒に発酵させ、お酒に酢酸菌を加え、更に発酵させて作られたものが醸造酢です。
米酢、穀物酢、醸造酢など、色々種類がありそうですが、分類上のものです。
醸造酢の分類の中に穀物酢があり、穀物酢の中に米酢があるということです。
原料の種類によって、穀物酢になったり、果実酢になったりします。
味の点では原材料と発酵菌によって左右されます。
そうなると、組み合わせが膨大になってきますので、同じ醸造酢と言っても製法が違ったりすれば、会社ごとに味の違いが出てきます。
違いが出るからこそ、様々な種類の酢を楽しむことが出来るわけですね。
酢酸菌が使われるのは酢だけではなく、ナタ・デ・ココやカスピ海ヨーグルト、マヨネーズなどを作る際にも使用されています。
いろんな場面で活躍している菌なのです。
合成酢
合成酢は、氷酢酸や酢酸を水で薄めて、これに砂糖類や調味料を加えて製造したものですが、科学的に作られた酢なので、醸造酢のような健康に対する効能はありません。
生産量も少なく家庭用として使われることはほとんどないので、口にする機会は少ないでしょう。
加工酢
加工酢は食酢に味や香辛料を付け加えて食べやすくした酢の事です。
食酢を原料にして、用途(料理)によって使いやすくした酢ですが感覚としては調味料ですね。
名前に「酢」とついているので、酢のイメージからは逃れられないのですが。
すし酢はこの加工酢にあたります。
三杯酢も加工酢ですね。
飲む酢という商品がたくさん出ていますが、こういった飲料用になっているものも加工酢になります。
酢の効能
酢の効能は以下の通りです。効果ありすぎて本当か?!ってなりますが、効果を見ていきましょう。
・血糖値の上昇が緩やかになる
・高めの血圧がさがる
・内臓脂肪と皮下脂肪の減少
・消化吸収効率が上がる
・疲労回復
・塩分減少
・食欲回復
・アンチエイジング
・ストレス緩和
血糖値の上昇が緩やかに
【試験概要】健常女性に食酢を約15ml(酢酸750mg)を含む飲料、または、含まないプラセボ飲料(食酢の代わりに乳酸で味を似せた比較用の飲料)100mlを摂取してもらいました。最初にこ飯(白飯)を少量摂取し、その後自由に飲料を飲みながら10分以内に全て飲食してもらいました。その結果、2時間後まで多くの方の血糖値は食酢を摂った場合に低く抑えられていました。血糖値の上昇ピークは食後30分でしたが、その平均上昇率は食酢を摂らなかった場合の89%に留まっていました。第二の実験として、健常女性にご飯(白飯)と一緒に食酢を約15ml(酢酸750mg)を含むワカメを食酢で和えたもの、または、食酢を含まないワカメのダシ醤油和えを全て食べてもらいました。その結果、45分後まで多くの方の血糖値は食酢を摂った場合に低く抑えられていました。血糖値の上昇ピークは食後30分でしたが、その平均上昇率は食酢を摂らなかった場合の87%でした。
出典: www.mizkan.co.jp
食酢15mlとはおおさじ一杯分の酢です。
こちらを料理に使ったものを、とるようにすると血糖値の上昇が緩やかになります。
急激な血糖値上昇が繰り返されると糖尿病になる恐れがあります。
血糖値が高くなると、全身の血管がダメージを受け、血糖値の高い状態が続くと、糖尿病になってしまうからです。
意識的にとって血糖値が上がるのを防ぎましょう。
高めの血圧が下がる
【試験概要】血圧が高め(最高血圧:130-159mmHg、最低血圧:85-99mmHg)の男女に食酢約15ml(酢酸750mg)を含む飲料、または、含まないプラセボ飲料(食酢の代わりに乳酸で味を似せた比較用の飲料)を1日1本(100ml)、10週間毎朝続けて摂取してもらったところ、食酢を含む飲料を摂った多くの方で血圧は低下しました。10週間摂取後の平均低下率は、最高血圧で6.5%、最低血圧で8.0%でした。
出典: www.mizkan.co.jp
こちらもまた食酢15mlを取ることでえられる効能です。
こちらは酢酸の効能とも言えますが、血圧を上昇させるホルモンを抑える働きがあります。
そのため、酢を取ることで、血圧を下げられます。
ただし、こちらは酢を毎日とることが条件です。酢酸の働きで血圧を下げているのですから、とらなくなったら元に戻るのは道理ですよね。
酢を取らなくても血圧が上がらないようにするには、他の原因を改善するしかありませんが、食べ物で改善を試みるなら酢が簡単でよいでしょう。
毎日、酢や酢のものを摂るのが大変だなぁという人は、フルーツや梅干を食べると同様の効果が得られます。
フルーツや梅干にはクエン酸が入っています。
クエン酸と酢酸は違うものですが、体内に摂取されると酢酸に変化しますので、同じ効果が得られるのです。
内臓脂肪と皮下脂肪の減少
【試験概要】肥満気味(BMI:25-30kg/㎡)で平均血中中性脂肪が155.5mg/dl(正常値は150mg/dl未満)の男女に食酢約15ml(酢酸750mg)を含む飲料、または、含まないプラセボ飲料(食酢の代わりに乳酸で味を似せた比較用の飲料)を1日1本(500ml)、朝晩2回に分けて12週間毎日続けて摂取してもらったところ、食酢を含む飲料を摂った多くの方で内臓脂肪、体重、腹囲、BMI、血中中性脂肪が減少しました。12週間摂取後の平均減少率は、内臓脂肪:4.9%、体重:1.6%、腹囲:1.5%、BMI:1.5%、血中中性脂肪:18.2%でした。
出典: www.mizkan.co.jp
酢酸の働きによって、脂肪の合成が抑えられ、さらに体内の脂肪が燃焼しやすくなります。
つまり、脂肪がくっつきにくく、減りやすい状態に体を持っていくことが出来ます。
消化吸収効率が上がる
キレート作用とは、カルシウムやマグネシウムなどの体内に必要なミネラルを溶けやすくして、吸収を高めることです。
キレートとはギリシャ語でカニのはさみという意味で、カニのはさみがつかんで離さないところからきているようですが、あんまりカニががっちりつかんでいるイメージもないですね。
キレート作用はこれだけではなく、体に有害な物質とも結合して、こちらは体外に排出してくれます。
水銀
カドミウム
鉛
ヒ素
こちらはクエン酸と結びついて、体内に吸収されることなく体外に排出されます。
それにより有害物質によって発生する症状を抑えることが出来るのです。
疲労回復
疲労の原因は乳酸という疲労物質が体内で発生し蓄積することにあります。
この乳酸はクエン酸や酢酸によって分解することが出来ます。
疲労物質がなくなることで疲労回復につながります。
また、クエン酸とグリコーゲンを一緒に摂ることで、グリコーゲンの吸収をよくして、疲労しにくくなります。
料理に使うことで塩分の減少
塩気がないと料理がおいしくないと感じる事もあるかもしれませんが、塩分の摂りすぎは高血圧になることもあってあまりよくありません。
そこで、塩の代わりに酢を調味料とすることで塩分摂取を控えることが出来ます。
酢は料理にコクを与え、味に深みを与えることが出来ます。うまく使いこなせれば、料理のレパートリーも増えますし、減塩にもなって一石二鳥です。
ただし、加工酢の中には塩分が含まれているものもあるので、そこは注意してみましょう。
私はどぼどぼいれちゃって、なんか、全然食べられないものになっちゃったけど…
それは初心者がよくやる失敗ですね。
酢は入れすぎてしまうと、全体の味のバランスがかなり変わってしまうので、初心者のうちは、大さじなどできちんと計ってから入れると失敗しにくいです。
あとは、酸っぱくなりすぎたから反対の味を…!というのも逆効果で、反対の味では打ち消せません。
カオスになる前に、可能なら量を増量して作ると味が薄まっていいですよ。調理器具のサイズの関係で増量できない時は、いったん別の容器に入れて少しずつ使うなどすると何とかなる場合があります。
食欲の回復
酢の酸味によって、舌や鼻が刺激されます。あまり強すぎる酢のにおいはむせたりして厳しい感じですけれど。
お酢の適度な酸味がさっぱり感を与え刺激されることによって、口の中で唾液が分泌されたり、胃の中で胃液が分泌されたりして、体がものを食べる態勢になります。
そうするとあら不思議。
食べたくなかったという気持ちが回復して食べてみようかなとなります。
酢のモノの軽い酸味がさっぱりして食べやすいというのもありますからね。
アンチエイジング
酢は腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して、お通じをよくしてくれます。
それにより、便秘で体内で老廃物を吸収することがなくなり、健康的な体に。
また、抗酸化作用があるビタミンCが壊れることを防ぐ作用もあり、美白効果にも最適。
人間の老化の原因の一つは「酸化」と言われていますから、抗酸化作用のあるものを摂っていきたいですね。
ストレス緩和
カルシウムはよく
イライラしてるの?カルシウムが足りないよ、牛乳を飲め
なんて言われますので、そのカルシウムの吸収効率を上げることでカルシウムを取り、イライラやストレスを軽減することが出来ます。
酢を摂る時の注意点
酸蝕歯に注意
酸蝕歯(さんしょくし)とは、酸によって歯が溶けてしまうことです。
もちろん急激に溶けてしまうような強力な酸ではありませんが、酢を直接飲むような摂り方や酢の成分がそのまま摂れるような食事の場合は歯に酸が付いてしまいます。
これらは普通に歯磨きをすることで防ぐことが出来ますので、酢のモノを食べた後は歯磨きを怠らないようにしましょう。
虫歯や知覚過敏の原因にもなりかねませんからね。
飲み過ぎで胃をこわさないように
そのままの酢がツーンと来るように、酸が強いと胃を傷つけてしまいます。
料理などに入っていれば大丈夫ですが、例えば飲むタイプの酢には、そのまま飲めるものもあれば、「薄めて飲んでください」と書かれているものもあります。
そういう引用方法のものはきちんと希釈してから飲むようにしましょう。
また、空腹時に飲むと酢がそのまま胃の表面に触れることになりますので、空腹時にがぶがぶ飲むのを避け、できれば何か食べてから酢を摂るようにするとよいですね。
加工酢の成分に注意
加工酢は醸造酢に調味料を加えているものなので、醸造酢よりも、成分が過多になっているものがあるかもしれません。
塩分や糖分が加えられているものを健康に良いからと言って過剰にとってしまうと、健康に対して逆効果になってしまうものもあるでしょう。
そんなに過剰に入っているわけではないとは思いますが、成分を確認してみるのもよいかと思います。
まとめ
酢はかなりの高性能食材でしたね。
1人暮らしだと、酢のモノを作るという事もあまりないかもしれませんが、そういった場合は、スーパーなどで売られているものを利用するというのも考えてみるといいでしょう。
酢のモノは、若い時は苦手だった人も歳を取ってから食べてみるとうまい!となることがありますので、酢のモノはちょっと…という人も試してみることをお勧めします。
実際、ぼくがそうでしたから。
酢を上手に摂って元気に暮らしていきましょう。