よくある「社長との会食」もしくは「上司との会食」ってありますよね。
お昼に集められ、なんだかよくわからない雰囲気のまま、みんなで黙ってご飯を食べる・・・。
一般社員からしたら謎な儀式かもしれませんが、もしかしたら「ランチョン・テクニック」を使って、社員との仲を深めようとしているのかもしれません。
今回は心理学の「ランチョン・テクニック」とはどんなものなのかを見ていきましょう。
Contents
一緒にご飯を食べると好意を持ちやすくなる
とある日のオフィス
うーん・・・
むむむ・・・
ど、どうしたんですか?お二人ともそんなに唸っちゃって・・・
いやー、今日のお昼は俺たち社長との定例の食事会なんだよね
あっ、確かおいしいものが食べられるんですよね。私、ちょっと楽しみにしてます。
そうなのよ。確かにご飯はおいしいはずなんだけど、なんだか変に場の空気が重くて…。ちょっと憂鬱なのよね・・・
きっと、社長さんは「ランチョン・テクニック」を使って皆さんと仲良くなりたいんですね
ランチョン・テクニック?
簡単に言うと、おいしいものを一緒に食べると仲良くなれるという事です
ないない。だって社長いつも不機嫌そうだもん。
そうそう。なんか発言すると怒られるし
何言ったんですか?
「なんでもいいから仕事で意見があったら言って下さい」というから、『この業界もうだめですね』って言ったら、むすっとしちゃってさ・・・
私は『ご結婚はされないんですか?』って聞いたら、「そのうち、ね」と言ってそのあと黙っちゃうし・・・
(自由すぎるでしょこの人たち・・・)
ランチョン・テクニックとは
ランチョン・テクニックとは食事をしながら、相手と会話をすることで相手に好意を持つようになることです。
仕事では食事をしながら交渉や商談を行うとスムーズに話が進めることが出来るというテクニック。
テレビのニュースで要人が来日されると、晩さん会が開かれたり、政治家の人は料亭で打ち合わせをしたりしますよね。
料亭で話すのは、会話を聞かれないようにするためという面もありますがランチョン・テクニックを用いて交渉をうまく進めようという狙いもあります。
一緒に食事をすると相手に親近感をもち、そのポジティブな感情がそのまま交渉ごとに向けられて話がうまくいく、ということです。
なぜ親近感がわくか
食事をしている最中は幸せ物質と呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。
このセロトニンによる幸せ感がポジティブ思考を生み出しやすくなっています。
また、同じ行動をしているという一体感も親近感を上げる後押しをしています。
美味しいごはんでないと意味が薄い
幸せ物質による幸福感と、おいしいものを食べているというポジティブな感情を相手に反映させて好意を持つようになりますが、この時にご飯がおいしくなかったらどうでしょうか。
ご飯がおいしくないという事は思考がネガティブな感情に染まっている可能性があります。
そして、そのネガティブな感情を相手に反映させてしまい、相手に対する印象も悪くなってしまいます。
ランチョン・テクニックを用いる際にはおいしいものを用意しましょう。
もちろん、単純にまずいものは食べたくないという意味もあります。
また、相手の嫌いな物がないかも事前にチェックしておきましょう。
全体的においしい料理だったとしても、嫌いな食べ物が紛れ込んでいると、印象が悪くなってしまいます。
その印象の悪さが食事を誘ったあなたへも反映されてしまいます。
わざとこの料理を頼んだんじゃないか?
そんなことはないのですが、いったんもやもやしだすと心の中にとげの様に引っかかってしまいます。
好き嫌いには注意しましょう。
ランチョン・テクニックを生かす場面
じゃあ、ランチョン・テクニックってどんな場面で使われるのか見ていきましょう。
恋愛への応用
好意を持つようになる、という作用からピンときた方もいるかもしれませんが、恋愛でも同じように使えます。
方法は単純で「相手と一緒においしいご飯を食べに行く」だけです。
するとおいしいごはんの力で好意を持ってくれるようになります。
ポジティブに自分の事をとらえてくれるというのは嬉しい事ですよね。
ぜひ、好きな方と一緒にご飯を食べに行ってみてください。
ただ、その食事にこぎつけるまでが大変、なんですけどね。
頼みごとをしたい時
仕事に限ったことではありませんが、相手に頼みごとをしたい時ってありますよね。
もしくは言いにくいことを言わなければならない時。
そんな時にもランチョン・テクニックを使えば相手は頼みごとを受け入れやすくなります。
ねー、ちょっと部屋の模様替えを大々的にやりたいんだけど、手伝ってくれるかな?重たいタンスとか食器棚があって結構大変そうなんだけど・・・
いいっすよ。もぐもぐ
ポイントは相手が食べ物を口に入れてもぐもぐしている時。
口の中で「かむ」という事に意識を持っていかれているため、否定の感情が沸きにくくなっています。
相手が食べ物を口の中に入れてからが交渉の本番です。
商談や仕事でのパートナーとの距離を縮めたい時
初めて一緒に仕事をする人や、パートナーとして長く仕事にかかわってくる人とは一緒にご飯を食べに行くことが多いです。
これは、一緒に仕事をするのですから仲が悪いと仕事に支障が出てしまいます。
あいつが嫌だからこの仕事はしたくない
なんて思うのも時間の無駄ですし、相手にとっても不幸です。
ならば発想を転換して一緒に仕事をするのが楽しくなるような関係になればいいのです。
会社で営業の方は接待をよくやっていますよね。
これは、相手をもてなすという意味と仲を深めて協力関係を強いものにしていきたいという意味があります。
実務をしている方は
営業の人は接待ばかり行っちゃって・・・
と思うかもしれませんが、現場が働きやすくするように努めてくれていると思えば、そんなに気にならなくなりますよ。
交渉事では内容もさることながら、「この人とはうまくやれそうだ」と思わせることが大事です。
明るい将来が見えない人とは一緒に歩もうと思いません。
「この人なら大丈夫」と思ってもらうことで商談もまとまるし、交渉にも「YES」と言ってもらいやすくなります。
連合の原理
このランチョン・テクニックを提唱したグレゴリー・ラズランはパブロフの犬の実験を知り、食事と、別の反応を結び付けることが出来るのではと考えました。
「モノを食べる」という行為と「相手に好意を抱く」という行為は、よく考えると結びつきはないですよね。
でも、関係があるように錯覚してしまう心理作用を「連合の原理」といいます。
有名な「吊り橋理論」もそうですね。
吊り橋に対してドキドキしてしまう感情を、相手への感情と錯覚させる心理作用があります。
まとめ
ランチョン・テクニックは「一緒にご飯を食べるだけ」という手軽な方法で実践できます。
今までいい印象を持っていなかった人でも、ご飯を食べに行ったら案外いいやつだった。
なんてことがあるかもしれませんね。
とはいえ、嫌々食事に参加していたらその態度は相手にもわかってしまいますので、相手と仲良くなりたい!という気持ちを持って食事に行きましょう。