夢を追いかけて実現して、でも、その夢を続けることができない。
人生はそんな辛い面がたくさんあったりします。
最近、人気声優が若くして引退声明を出すことがありました。
一見はなやかそうですが、その裏の厳しい生活も声優を目指す人は知っておかなければなりません。
今回は声優事情を見ていきましょう。
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声優の給料は歩合制
声優事務所に所属している声優はたくさんいますが、声優が所属しているからと言って、毎月決まったお手当てが入ってくることはありません。
給料は歩合制なので、仕事をした分だけ入ってくることになります。
ということは、お給料が毎月どれだけ入ってくるかわからないので、不安定な生活になります。
若い声優は、声優と言う仕事だけでは食べて行くことができないので、アルバイトを掛け持ちしていることがほとんどです。
ギャラ発生の仕組み-アニメのお給料-
ギャラはアニメのレギュラー番組ですと、ランク制をとっていて、ランクに応じた給料が入ってきます。
ランクは最低は15000円から、最高は45000円程度と言われています。
このランクで規定できないような、ベテランの実力者はランク外扱いとなり、じかにギャラを交渉できるようになります。
で、ランクが決まった後、作品に出演しますが、この時のせりふの分量は金額に関係ありません。
え?ひとつの回で、会話が多くても少なくても同じ金額なの?
はい。
一言でもせりふがあれば、給料を得る権利を得ます。なので、ざわざわしているような脇役でも、せりふのたくさんあるような主役急のキャラでも、ランクが同じなら同じ給料ということになります。
この時、15000円は事務所に対して支払われる額なので、そこから手数料を引くと、声優の元に手に入るお給料は1万円ほどになります。
一回放送された後に、再放送があると、その分もお給料に反映されます。再放送があるとおおむね1.8倍程度の金額になります。
初回放送のみ 15000円
再放送あり 15000 × 1.8 = 27000円
つまり、声優にとっては再放送をしてもらったほうがお給料をたくさんもらえて、お得と言うわけですが、再放送しているアニメと言うのは結構有名なアニメばかりですよね。
再放送の機会はそれほど多くはないでしょう。
アニメは、レギュラー出演している役をゲットできれば、週4回なので4回分のお給料が見込めます。
話の流れによっては、出演しない場合もありますので、必ずしも4回出られるわけではありませんが、レギュラーを持たないよりは持ったほうが生活が安定しますね。
ギャラ発生の仕組み-パチンコやゲームでのお給料-
いろんなメディアが発達してきて、声優がアニメ以外でも声を当てることが多くなってきました。
・ゲーム
・吹き替え
・ナレーション
・パチンコ演出用のセリフ
ゲーム
ゲームと言えば、ひと昔前は据え置きゲームの事を指していたような気がしますが、現在ではスマホがあり、スマホのゲームはそれこそ山のように作られています。
ヒットしたスマホゲームは長く運営が続いていきますが、売り上げが乏しいゲームはすぐに打ち切りになります。そしてその後もどんどんと作られては廃れていくという事が多くなりますね。
その分、声優さんとしてはチャンスが大きくなっていきます。
ゲーム関連の報酬としては一単語あたりの単価が決まっていて、それにより計算して総額が決まります。
テレビアニメと違って、やった分だけが収入になるので、大作のゲームに抜擢された場合は大きな収入が見込めますね。
パチンコ演出用のセリフ
パチンコをされない方のために説明しますと、パチンコは「大当たり」とか「チャンス」とか、アニメでは言わない用語をキャラクターが口にすることがあります。
また、アニメで知っているストーリー通りに話が進めば大当たりになる場合に、ハズレ用の演出として失敗したパターも作らないといけません。
例えば、キャプテン翼で、翼と日向が一緒に放つドライブタイガーが放たれたら、アニメではゴールして、喜びの声を収録して終わりになります。
でも、パチンコでは演出上ドライブタイガーを打っても外れることがあるので、「くそっ」とか、外れた時の演技も必要になります。
そこで、アニメを下敷きにした場合に、アニメで描かれなかった場面を収録することになります。
こちらも、ゲームと同じで、単語の単価が決まっていて、しゃべった分だけ報酬につながるシステムです。
とは言っても、パチンコ用の演出は短いものが多いので、収録すると言ってもそんなに長い分量のセリフを言う事はないと思われます。
吹き替え
吹き替えで思いつくのは、洋画の吹き替えでしょう。
洋画や外国ドラマでは、当然ながら、その土地の言葉をしゃべっているので、日本語で吹き替えをする必要があります。
以前は、洋画や外国ドラマは日本のメディアに載ることは少なかったのですが、「海外ドラマが面白い」という事が知れ渡るようになると多くのドラマが吹き替えで放送されるようになりました。
声優の方々にとっては、仕事の総量が増えるのでいいことですね。
洋画の吹き替えは、1時間の長さで、相場が5万円程度との事。
一時間分の収録は大変だとは思いますが、コンスタントにとることが出来れば、大変助かりますね。
ナレーション
テレビ番組を見ていて、状況説明をしたり、解説やあらすじを朗読してくれるナレーションの仕事もありますね。
映像がないものだと、スーパーの店内放送のようなものまであります。
こうした仕事はピンキリですが、1本1000円から。スーパーの店内放送は1000円程度。
テレビのナレーションは10万円ほど。
CMのナレーションはそれ以上の金額になることもあります。
単価が高い仕事をできればよいですが、テレビは放送枠が限られているので、必要な人数が少ないです。
また、ナレーションはどの番組も人気の人を起用しているので、新しく食い込むのは難しかったりもしますね。
その他の収入
声の仕事というと、ラジオや歌(CD)もありますね。
ラジオパーソナリティになったり、歌がうまい人はCDデビューしたりしています。
ラジオは冠番組を持つこともありますし、アニメキャラを演じていれば、アニメ関連のラジオに出演する機会もあります。
ラジオは1回の出演で5,000円から10,000円ほど。
少ないと思うかもしれませんが、ラジオを聴いているとパーソナリティを務めている人は、どの方も楽しそうにやっています。
楽しみながら収入を得られるなら楽しい仕事と言えるかもしれません。
声優だけでは生活できない現実がある
声優業だけでは生活できず、バイトでやりくりしている声優の方は多いです。
それはなぜかというと、声優の仕事がそれほど多くあるわけではないからですね。
一方で、声優の人数が増えてきています。
同誌で「声優名鑑」が最初に付録になったのは今から18年前の2001年(平成13年)。女性の掲載人数はわずか225名だった。しかし平成最後の声優名鑑である「声優名鑑2019 女性編」では、その掲載人数は847名に達し、実に4倍近くの飛躍的な増加を果たしている。
出典: prtimes.jp
同誌で「声優名鑑」が最初に付録になったのは今から18年前の2001年(平成13年)。男性の掲載人数はわずか145名だった。しかし平成最後の声優名鑑である「声優名鑑2019 男性編」では、その掲載人数は583名に達し、実に4倍超の飛躍的な増加を果たしている。
3月号付録の「声優名鑑2019 女性編」に掲載された女性847名も合わせると、その数なんと1430名。1500名の大台も目前という驚異的な増加を見せている。出典: prtimes.jp
2001年 | 2019年 | |
男性声優 | 145名 | 583名 |
女性声優 | 225名 | 847名 |
総数 | 370名 | 1430名 |
約20年前と比べると声優の総数は3.86倍となっています。
声優は増えましたが、では番組数はというと、3.86倍になっているような気はしません。
20年前の370名でまかなっていた時でさえも、仕事にあぶれている声優の方がいたくらいですから、今現在だと仕事をもらえることの方が少ないという事は想像できますね。
声優になることはできるけれども、なったあとに仕事がない可能性があるという事が事実としてあることを、これから声優になろうとしている人は覚悟しておかないといけません。
声優のアイドル化で学校が増えた
声優というと昔は表に出てくることが少なく、キャラクターを立てるためにむしろ声優は表に出ないようなところさえありました。
しかし、最近では、演技の技量とともに容姿も備えている人が重宝されるようになり、またそういった容姿のいい人がメディアに出るようになると、声優がアイドル化して、声優その人本人に人気が出るようになりました。
そうなると声優志望の方が増え、そういった方たちを対象にした専門学校ができ、多くの人を声優にして世に輩出することになります。
増えた人数に応じて仕事も用意できればよかったのですが、そうはならなかったので、人がだぶついている状態であると言えます。
人生の転機に声優を辞める人が増える
転機というと、結婚だったり、出産だったり人生において大きなイベントが起きた時に声優業を断念する人が多くなります。
自分一人ならバイトでも何でもして生活していくことが出来ますが、結婚して相手を養っていく時に、バイトだけだと収入が足りなくなってきます。
本業の声優で十分な収入が得られないとなると、声優を廃業して別の仕事に就き、稼ごうと考えるようになります。
そうならないためには、声優として有名になり、声優業だけで食べていくことが出来るようになるか、声優業以外の収入があり生活が安定している状態が必要になります。
どちらも大変そうですね。
仕事をもらえないと経験が積みづらい
声優という仕事は「分業」ができない仕事であります。
大きなプロジェクトであっても、ある役をこなす人は一人であり、複数の人数が担当して一気に収録するという事ができません。
そんな事をしたら、シーンごとに声や演技が変わって、ちぐはぐになることは目に見えています。
そのため、仕事をもらえなかった人は実践の経験を積みづらい環境にあると言えます。
養成所などで演技指導をしてもらえるかもしれませんが、現場での経験に勝るものはなく、仕事をもらえた人とそうでない人の差は開いていくばかりです。
そのため、仕事をもらえた人の所には次の仕事が転がり込み、そうでない人の所には仕事が回ってこなくなるという悪循環があります。
実力主義なので仕方がない面もありますね。
自分で発信してアピールできる時代
声優になるためにデモテープを送ったり、オーディションに出たりするわけですが、現代では自らが情報を発信してアピールすることが出来る時代です。
Youtubeやニコニコ動画などに動画を投稿して、自分の演技を見てもらい認知度を高めていくことが出来ます。
自分の事を多くの人が知っているとなればアピールポイントになりますので、仕事を得やすくなることでしょう。
演技力が同等ならより有名な人を起用したほうが話題性が上がります。
自ら行動していくことも声優の成功には欠かせない時代になってきました。
自分の行動次第でチャンスを増やせる環境ができつつあるという事でもありますね。
チャレンジすることは悪い事じゃない
脅すようなことばかり書いてしまいましたが、なりたい気持ちを持って声優になるのは素敵な事です。
将来、仕事状況やお金の面で声優を辞めることになるかもしれませんが、得た経験というのはどこかで活かせるものです。
一度しかない人生、やりたいことをやっていきましょう。
ただ、声優を目指すときにこんなことがあるよという事をお伝えしたかったのでした。
今回は以上です。