耳に切り欠きのある猫たちは「さくらねこ」と呼ばれています。どういった意味合いでさくらねこと呼ばれているのでしょうか。
今回は「さくらねこ」についてみていきましょう。
Contents
「さくらねこ」は去勢手術済みの証
去勢手術を行ったことが分からないと、捕獲され、手術を行う段階で去勢済みであることが発覚します。
手術を行うためには、麻酔をして、それから体にメスを入れるという、猫の体にとって負担が大きいことを行う必要があります。
ムダに猫の体を傷つけないようにするための配慮としてわかりやすい目印として耳にカットを入れて、目印としました。
このカットされた耳の形が桜の花びらに似ていることからさくらねこと呼ばれています。
耳のカットは虐待ではないのでしょうか?
虐待ではありません。耳のカットの際は麻酔をかけて行われますので、猫が痛みを感じる事はありません。
また、その後の負担を減らすという目的で行われています。
意味なく猫の体を傷つけるという意図は全くなく、むしろ動物愛護の観点から行われています。
最初から「さくらねこ」と呼ばれていたのでしょうか?
最初は「さくらねこ」とは呼ばれていなかったようです。
公益財団法人どうぶつ基金様HPより以下の記述がありましたので以下引用です。
2012年10月沖縄県石垣島で公益財団法人どうぶつ基金が行った大規模一斉TNRの時です。どうぶつ基金の理事長と石垣市長と雑誌「ねこ」編集長の会談の中で「さくらねこ」という呼称を発案して名付けられました。「さくらねこ」のお誕生日は石垣島の猫がもとの場所にリリースされた平成24年10月18日になります。
“リリースが終わった翌日の早朝、緑地公園に行くと、人懐っこいねこたちが出迎えてくれました。不妊手術が済んだ証として、オスねこは右の耳、メスねこは左の耳が、V字に切り取られています。その愛らしい耳は、まるでさくらの花びらのようです。どうぶつ基金では、不妊去勢手術した地域猫を「耳先カットねこ」と表現していましたが、今回の事業より「さくらねこ」と呼ぶことを決めました。石垣島で花開いたさくらねこの前線を北上させ、日本全国に官民協働のTNR活動を普及させたいという思いが込められています。
春号の取材で、編集部がサザンゲートブリッジを渡ってみたのは、身勝手な人間が作った悲惨な光景でした。今もまだゴミや落書きが散乱しているものの、優しい人々が咲かせたさくらねこを見ると、明るい未来を思い描くことができます。またいつか、石垣島を訪れたときには、幸せに年を重ねたさくらねこと再会できることを願います。“
以上「ねこ冬号 #85 84ページ」より引用
つまり、「さくらねこ」の名前の誕生は平成24年10月18日となりますので、結構最近できた愛称だということが分かりますね。
さくらねこに込めた思い
さくらねこになってもらうという事は、去勢を施すという事ですよね。
それはなぜかというと、自然繁殖数を減らして、個体数を減らし、殺処分になる猫を減らすという考えがあります。
平成29年度殺処分数
環境省HPから犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況を見てみます。
犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況 環境省HPより
平成29年度は収容した62,137匹のうち34854匹が殺処分されています。
このうちノラ猫は約50,000匹、飼い主から逃げたりしてきた猫が約11,000匹です。
つまり殺処分される猫は圧倒的にノラ猫が多いことが分かります。
犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況 環境省HPより
こちらは、収容数ですが、昭和49年より、12分の1とかなりの数を減らすことが出来ています。これも、地道にさくらねこの去勢手術を続けてきた効果が出てきているのではないかと思います。
殺処分をしたくない
檻の中で殺処分を待つだけの猫や犬たちを見たことがあるでしょうか。
元気にして、ご飯をねだる姿はかわいらしいものです。
でも、行政としては仕方なく殺処分を行うしかありません。
動物の命をそこで停止させるということがとても残酷であるという事を理解しながらも定期的に行われています。
そこで、殺処分数の大多数を占めるノラ猫の数を減らすことが出来れば、殺処分数を減らせるという考えのもとに行われてきています。
さくらねこを見て「虐待だ!」と考える人もいます。
もちろん、猫の体に傷をつけていることは事実なので、虐待と捉える人がいてもおかしくはありません。
しかし、その耳をカットする行為の向こう側には、猫たちを大事にしたいという気持ちが流れているのです。
そのことを忘れないでいてほしいと思います。
さくらねこではないノラ猫を見かけたら
公益財団法人どうぶつ基金様が「さくらねこ無料不妊手術事業」を行っています。
興味のある方は公益財団法人どうぶつ基金様のホームページをご覧くださいませ。
公益財団法人どうぶつ基金