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【マンガ】少女終末旅行 最上層を目指して、少女二人が終末の世界を進んでいく  ネタバレあり




・・・何もわかんないけど・・・生きるのは最高だったよね・・・
・・・うん

今回は人類のいなくなった終末世界を二人の少女が旅する、つくみず先生作の少女終末旅行を紹介します。

こんな人におすすめ

少女終末旅行はこんな人におすすめです。

  • 少女二人の掛け合いが好きな方
  • SFのような世界観が好きな方
  • 生きたり人生を考えるのが好きな方

少女の掛け合いが好きな方

初回からいきなり先を目指しての行軍中です。

乗っているのはケッテンクラートと呼ばれるバイクとキャタピラが合体したような乗り物に乗っています。
ケッテンクラートは僕たちが暮らしている現実世界の第二次世界大戦後期に実在した乗り物です。

少女の名前はチトとユーリ。
チトはケッテンクラートをメンテナンスできる理系女子で理性的。ユーリはふわふわした感じの天然系女子。

こんな二人が終末世界をゆるく進んでいくさまを日常系のような雰囲気で描いているので、日常系マンガが好きな方は受け入れられるかもしれません。

舞台が日常ではないので日常系に分類していいのかわかりませんけれどね。

SFのような世界観

作中の西暦表記は、3230年。

今から1000年も先の時代の話。

人の姿は二人のほかは、作中では2人しか出てきません。

その二人も、道を一緒にすることなく、独自の方向へと進んでいきました。

世界はどうなっているのか。最上層には何があるのか。都市の発展と崩壊はどこから来たのか。

都市の中で見かける技術は未来的なものが多く見られますが、チトとユーリはその技術に対応できておらず、滅びた都市は進んだ技術を持った文明の崩壊跡だという事が見てとれます。

これらの文明について語られることが作中ではほとんどなく、読者の想像で補完するしかない部分がたくさんあります。

他に人類はいるのか?食料を手に入れられる地はあるのか?

説明がない分、こうだろう、こうだったらいいなとチトとユーリの気分になって色々考えることが出来ます。

人生や将来を考えさせられる

作品の中では「最上層」と呼ばれる、都市の一番上を目指して進んでいく二人ですが、複雑で広大な都市群の中で、二人が進める道はそれこそ無数にあります。

過去の回想の中でおじいさんと呼ばれる人物から最上層を目指すように言われ、二人は最上層を目指していきます。

その道は、決まった道があるわけではなく、二人も進んでいるこの道が最上層に続いているのかわからない模様。

進んでいるのか戻っているのか判断がつかない中で、それでも前らしき方向に行軍し続ける。

そして、最上層にたどり着いた時に、そこは一面が雪で覆われているだけの所でした。

「ねぇ 私たちこれで正しかったのかな」
「正しかったって・・・?」
「もっと早く引き返したほうがよかったんじゃないかとか
もっと別の場所に進んだ方がよかったんじゃないかとか・・・
そしたらもっと暖かくて食べ物もある場所に行けたんじゃないかとか・・・
そしたらもっと・・・」
「・・・」

道中にあった他の可能性を考えて、そしてその可能性と現状を比較して、なんだか胸にぽっかりと穴が開いたようなそんな気持ちでチトはこれまでの事を考えてしまうんですよね。

これってすごく人生に似ているなって思ったんですよ。
自分が進める道は一つしかなくて、もしそれで行動がうまくいかなくてどうしようもない状況になったとしてもそれは自分が歩いて選んで来たことの結果として今があるんだなって。

そしてそれは、必ずしも優しい結末ではないかもしれない。

「わかんないよ!
どうするのがよかったかも
どうしてこんな世界に二人っきりなのかも・・・
何もわかんないけど・・・
生きるのは最高だったよね・・・」
「・・・うん」

最善の解はわからなかったけれど、道中でいろんなことがあって、考えて行動してそれで生きてきたのは最高だって言いたい、と読んでいて思えるようなシーンでした。

また、文明も人も植物も滅んだ世界というのは今現在の世界の延長線上にある可能性のうちのひとつです。
こんな世界にならないためにはどうしたらいいのか、どう生きるのがいいのかを考えさせてくれます。

作画よりもストーリーに引き込まれる

最近のマンガを読みなれている方からしたら、「絵が荒いな」と感じるかもしれません。
おそらくですが、デジタルで作画してそのまま掲載という形だと思います。

そんな作画の粗さも気にならないほどストーリーが気にならない感じでしたね。
むしろ、これを端正に描写してしまうと崩壊した文明があまりにも生々しくなってしまうのを懸念したのかもしれません。

考察がたくさんある作品は良い作品

この少女終末旅行は、最後に最上層についた二人が最後の食事を食べ、眠りについたところで終わりを迎えますが、この後の展開について、読者がいろんな考察をネット上にあげています。

いわく、
二人はこの後どうなったのか?
死んだのかそうではないのか?
古代文明の力でどこかに転送して生きているのではないか?
登ってくる途中のロケットは3号まであったが4号は打ち上げられた形跡がなかった。それを使ったのではないか?

などなど。

ふたりはそのまま死んだ説が読んだイメージでは多かったのですが、何かしらの策があったのかもと思わせるようなものが作中にたくさんあったので、何とかして生き延びた説も割とありました。

生き延びた説を出している人はきっと、チトとユーリのふたりに生きていてもらいたいっていう願いからその根拠となる箇所を作中から探したかもしれません。

読んでいて何も感じなければそんなことを考えることもなく読んでおわりになっていたことでしょう。

でも、たくさんの人が、この後の展開について考察して、結論を出してこうではないか、こうだったらいいのにと意見をかわしあうのはそれだけ、人の心を動かしたことでしょう。

ぼくも、二人のこの後の展開までは考察したりはしませんでしたが、昔の人が残した画像を見たりだとか、打ち捨てられた施設を散策している二人を見ていると、起こりうる未来なんだという気持ちがふつふつとわいてきてしまったりしてました。

読む人によっては特に何も感じないかもしれません。
が、きっと最初から物語を読んだ人ならば、生存は厳しいかもしれないと思いつつも心のどこかで生きていてほしいと願ったりするんじゃないでしょうか。

おわりのページの次のあとがきで、大きな穂をつけた畑の中にいるキョトンとした顔のチトとユーリの姿が二人の生存なのか、それとも夢なのか、解釈はどうとでもできますが、できれば、食料のある場所へ行くことが出来たんだと願ってしまいますね。

アニメもあります

この少女終末旅行はアニメ化もされています。
単行本の4巻あたりまでがアニメ化されていますので、興味の方はアニメもよろしくお願いします。
少女終末旅行公式サイト