熱中症にご用心!(その1)-地球温暖化のせいで熱中症増加?!熱中症と熱射病の違いは?!熱中症のメカニズム-
毎年、夏になると「熱中症」という言葉を耳にするようになりました。
ぼくが子供の頃は熱中症という言葉はあったにしても、ほとんど聞かれなかったように思います。
代わりに日射病という言葉を使っていたと思いますが、日射病とはどう違うのでしょうか。
また、熱中症は「熱中症で亡くなった」というように日射病よりも症状が重いようなイメージがあります。
熱中症に関する知識をつけて予防し、健康な夏を過ごしましょう。
毎年気温が上がっていることも原因の一つ
引用:日本の年平均気温 気象庁HPより
1898年から2018年までの120年間のグラフです。
気象庁そんな昔からあったんですね。
きれいにといいますか、ジグザグしながら平均気温が上昇していることが分かります。
「昔はそんなに暑くなかった」というのは思い込みではなくて、きちんとした事実だったという訳ね
気温が上がっていった原因として
・地球温暖化
・都市化
このふたつが原因とされています。
地球温暖化のせい
出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
化石燃料を使ったことにより、温室効果ガスが発生し、それが地球を覆うことで温室効果が発生し、宇宙に抜けていく熱が地球にとどまるようになり、気温が上がっているわけですね。
都市化のせい
引用:ヒートアイランド現象 気象庁HPより
街が都市化することで、発生した熱が都市部にとどまるようになり、いつまでも暑さが収まらなくなっています。
都市化されていない地域は草木・土・水田・水面があり、水分を保っています。
その水分が蒸発することで気化熱として熱を奪うので、そこまで熱くならないのですが、コンクリートで覆われた地域は保水力があまりないので、気化熱を利用できず熱がこもってしまいます。
また、オフィスで電気を使用したり車が走行したりすることで熱が発生して排出されます。また、ビルによって風の通り道がなくなってしまうので、この熱が逃げる場所がほとんどなく、熱がこもる原因になっています。
更には気密性の高い建材が使われたりしていると熱が逃げていきません。
色々ひっくるめて都市化が原因と言ってよいでしょう。
どちらの原因も、人間の発展に伴った原因なのでものすごい技術革新がない限り解消されることはないでしょう。
つまり、平均気温が上昇していくのは食い止められないってことだな
周りの環境を変えられないなら、自身で対策をしないと熱中症にかかりやすくなってしまいます。
熱中症とは
熱中症は症状の総称
熱中症とは高温多湿の環境下で私たちの体が適応できず、現れる症状の総称です。
・熱失神
・熱疲労
・熱けいれん
・熱射病
これらをまとめて熱中症と言います。
イメージとしてはこのような感じ。
これら四つのうちのどの症状が出ても「熱中症」と言って間違いありません。
日射病とは違うのか
日射病とは日光の当たり過ぎで体温が上昇し、発症した熱中症です。
症状としては日射病も熱中症も同じですが、原因が日光という事で日射病と言います。
なぜ日射病と言わなくなったかというと、日光以外での熱中症が多くなってきたから。
冒頭での平均気温の話のように、昔は今よりも涼しく過ごすことが出来、屋内で熱中症になることはあまりありませんでした。
ところが、平均気温が上昇し、ヒートアイランド現象なども後押しして寝苦しい夜を迎えた結果、屋内でも熱中症にかかる人が増えてきました。
日射病、熱中症、熱射病…。同じ症状に対して複数の呼称が多いと大変なので、熱中症と統一されました。
呼び方が統一されたのは2000年ころです。
呼び方が統一された代わりに、熱中症1、熱中症2、熱中症3と症状によって段階的に分かれるようになりました。
重症度1
めまい・たちくらみ・こむらがえり(あしがつる)・汗が大量に出る
重症度2
頭痛・吐き気・体の倦怠感・体に力が入らない・集中力、決断力の低下
重症度3
意識障害・けいれん・運動障害
熱中症のメカニズム
熱失神
人は体内で熱を発生しています。
運動して筋肉を使うと更に熱が上がります。
体内にできた熱がそのままとどまっていると体温が上がりすぎるので、血液を体の表面の近くを循環させて熱を外へ逃がし、体温を一定に保っています。
外気温が高いと、さらに体が温められてしまうので、
血液はより一層、体の中を循環していきます。
血液が体にいきわたると、一時的に血圧が下がり、脳に必要な血液が循環されなくなり、その結果酸素が運ばれなくなります。
めまいや立ちくらみを起こして意識を失うことがあります。
これが熱失神です。
主な症状としては
・めまい
・たちくらみ
・脈が速くて弱い
血液の循環だけで熱を放出できないと、汗をかいて体を冷やそうとします。
冷やそうとするあまり、人間にとって必要な水分量の限界をこえて汗を出すので、体の中で水分不足が起きてしまい脱水症状になります。
脱水症状になると、全身に倦怠感を感じたり、悪心(気持ち悪くなること)を感じたり、ひどくなると嘔吐や頭痛の症状が現れてしまいます。
これが熱疲労です。
主な症状としては
・倦怠感
・悪心
・頭痛
・吐き気
・集中力や判断力の低下
汗は血液から作られますが、汗の中には電解質も含まれます。
電解質の成分の多くはナトリウム、つまり塩です。
汗をかくと水分とともに塩分も排出されます。
汗をかいたあとは「水分が出た」という意識はありますので水分だけ補給しがちですが、そのままだと体内の塩分が補給されません。
塩分は筋肉の収縮機能を調整する役割を担っているので、塩分が足りなくなると筋肉の収縮がうまくいかなくなり、足がひきつったりします。
これが熱けいれんです。
主な症状としては
・筋肉痛
・足がつる
・足がけいれんする
血液の循環や発汗作用など、体が対策をしてもさらに体温が上がってしまうと脳に影響が現れて倒れたり、意識障害が起きます。
水分不足で汗が出なくなり、体温調節ができないと体温が40度以上まで上がることもあります。
これが熱射病で危険な状態です。
主な症状としては
・体温が高い
・意識障害がある
・呼びかけや刺激への反応がない
・ふらつく
・自分で水が飲めない
・汗のかき方がおかしい
次回
次回は熱中症の予防策についてみていきたいと思います。
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