ピクトグラムは簡単に作れる!-言語によらないコミュニケーションを作る-
ピクトグラムって言葉をご存知でしょうか。
引用元:ピクトグラムとアイコン
このような簡略化されたマークを見ることは多いかと思います。
これらをピクトグラムと言います。
視覚言語、絵文字、図記号、絵で表す文字など、様々な表現があります。
来年度の東京オリンピックを控えて、外国人旅行者の方も多く日本にいらっしゃいますが、すべての方が日本語を話せるわけではありません。
ピクトグラムを作成しておくことで、日本語が使えない方にも案内ができるような環境づくりをしてみませんか?
Contents
ピクトグラムを作ってみる
すごく計算されたピクトグラムというのは大変なのですが、簡単なものは割とすぐに作れるので、試しに作ってみましょう。
身近にある画像としてkindleのアイコンを使わせてもらいましょう。
これがもうすでにピクトグラムっぽいですね。
完成形はこちら。
kindleとamazonで微妙に絵が違うのに気が付きました。
先端と関節に丸を置く
手やひじ、膝、足など、関節部分と手足の先端に丸を置きます。最初は全て同じ大きさがいいでしょう。
頭部は大人なら小さめ、子供なら大きめの丸にします。
頭が小さいということは、頭身が上がるということです。
逆に頭が大きくなると頭身が下がります。
頭身が高いほど大人に見え、頭身が低いと子供に見えます。
現実の世界で無意識に感じていることって意外とあるもんです。
丸の外側をつなげる
繋げた線の内側を塗りつぶす
線の内側を塗りつぶすと、ピクトグラムっぽくなりましたね。
ひじとひざがつながっているので形がうまく見えません。
そこで、ここからは下絵をちょっと無視して適当にアレンジします。
ひじとひざを離して、猫背にするために背中にあたる部分を曲線にしました。
肉付けをする
体の太さが同じピクトグラムもありますが、今回は先端に行くにつれて細くなるようにしてみましょう。
オリンピックのピクトグラムも先端に行くほど細くなるタイプですね。
肉付けするとこうなります。ちょっとムチムチしちゃいました。
もし肉付けがうまくいかないなと思ったら、先端に行くほど配置する○を小さくするといいです。
この時、先端の丸は同じサイズにすると統一感がとれますよ。この画像では同じサイズになっています。
ひじとひざも同じサイズになっています。
分けたいところはラインを入れる
kindleを持たせてみましたが、手と一体化して、よくわからなくなりました。
そこで、手とkindleの間に隙間を開けます。
すると、手と持っているものは別物というように認識されますので、わかりやすくなったのではないかと思います。
装飾を入れる
なんだかうまくいかない時は、イラストから作ってみる
写真から作ろうとすると、少しだけ大変です。
どのあたりが腰なのかとか、手足の長さはどうしようとか、切り分ける場所はどこにしようとか考えて、バランスを取らないといけないからです。
そこで慣れないうちは、イラストをもとにして作ってみるのがいいでしょう。
今回はいらすとやさんから絵をお借りしてきました。
>>>>パスをするサッカー選手のイラスト(男性)
イラストは既に、形が簡略化してありますのでわかりやすくなっているという特徴があります。
そこで、イラストをもとにすれば、ピクトグラムと近いイメージから作成できるので、そんなにどこか変・・・という事にはならないでしょう。
繋ぎ合わせた状態ですが、前を向いているのか横を向いているのかわかりません。
今回は切れ目を入れて、方向が分かるようにします。
ただし、あまり切れ目を入れすぎると、ピクトグラムっぽさがなくなってきます。
切れ目を入れるのではなくて、段差をつけたりしてもよかったですね。
そのまま使ってもいいし、装飾を入れたりします。
公園なんかにある禁止看板のイメージにしました。
サッカー禁止の文字をなくした時にどれだけの人が理解してくれるのかが指標になりますね。
とんちんかんな答えが返ってきたら、そのピクトグラムの意図するところが伝わっていないことになります。
今回はサッカーボールが描かれているので、ピクトグラムというよりはボールで意味を判断されそうです。
題材を間違ったかもしれません。
ピクトグラムの発展は前回の東京オリンピックから
前回の東京オリンピック(1964年)以前の日本においては、ピクトグラムのような表現方法は発達しておらず、ものを表現する方法としては、当たり前ですが日本語が主流でした。
また、当時は外国人観光客は14万6881人で、平成30年の外国人入国者数3,010万2,086人と比べると0.4%しかありません。
そのため、日本では来日される外国人の方に対して受け入れる環境が整っておらず、まずは言語の壁をどうするか?ということが問題になりました。
そこで、当時の東京オリンピックデザイン専門委員会委員長となった勝見勝さん(1909~1983)の「各国の言語をすべて表示するのは無理なので絵文字を作ろう」という発案の元、外国人の方にもわかりやすいピクトグラムが考案されました。
当時のピクトグラム 引用元:U-NOTE
競技のピクトグラムだけではなく、トイレや公衆電話といった公共施設のピクトグラムも作られました。
言語によらないピクトグラムは、この大会以後も引き継がれ、臨機応変に変化しながら、オリンピックで使用され続けています。
東京オリンピック2020の競技ピクトグラム 引用元:東京オリンピック公式サイト
馬術と自転車が分かりにくいのですが、そこは仕方ないのかもしれませんね。
ピクトグラムが見やすいわけ
主に単色で作成されており、コントラストがはっきりしていて見やすいというのが一つ。
もう一つは形が簡素なので、頭の中で補完しやすいという点があります。
写真のように精密な情報量の多い画像だと、想像が入る余地がありません。
綾瀬はるかさんの写真を見て、石原さとみさんだと思う人はいないと思います。
でも、ピクトグラムのように簡素化されたイメージは想像の入り込む余地があります。
自分の知っている事柄のイメージと比較して、似ているものを頭の中で補っているのです。
そのため、幅広い文化の人が見てもそれぞれが独自に補完して自分の知っているものに置き換えているのです。
ピクトグラムの著作権は世界の利益のために放棄された
このいわゆる発明とも言ってもいいピクトグラムですが、東京オリンピックが終わった後、勝見氏の「世界の利益のために著作権を補放棄しないか」という提案があり、デザイナーの方々はそれに賛同したそうです。
それにより、今日も世界中の至る所でピクトグラムを利用しています。
外国に行ってもトイレのマークが変わらないというのはすごく便利なことだと思います。
豆知識:キャラの名前はピクトさん
ちなみに、非常口に駆け込んでいる彼の名前はピクトさんと言います。
ピクトグラムからとられてまさにそのまま!といった名前ですが、知らない方もいるかもしれませんね。
ピクトさんという名前はピクトグラム(pictogram)に由来している。日本ピクトさん学会会長の内海慶一により2003年に命名された。ピクトグラムとは「絵文字」という意味で、メッセージを視覚的に伝える図のことである。
ピクトさんは、道路、駅、工事現場、デパート、各種施設など街のいたるところで見られる。滑って転びやすい場所で注意を促す「転倒系ピクトさん」や、頭をぶつけやすい場所で注意を促す「頭打ち系ピクトさん」など、様々なピクトさんが存在する。出典: ja.wikipedia.org
おわりに
独自のものがあれば差別化を図れますので、気が向いたら作ってみてください。
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