デザインはダジャレでできている(場合もある)~意味や機能が重なるデザイン~
ダジャレ好きだったら何が悪い!
ぼくはもう年がいってしまったので、年配の方が、くだらないと言われるようなダジャレを発せられても結構楽しんでしまいます。
感性が近くなったというのもあると思いますが、面白い(と思われる)ことを言っているんだから乗っかってやれ!
という気持ちもどこかにあります。乗っかると嬉しそうにするのでこっちも嬉しくなりますね。
それなのに、こっちがダジャレを発すると白い目で見られてしまうのは理不尽ではないでしょうか。
一つのモノに複数の機能を持たせる
世の中でデザインと呼ばれるもののなかでは、なるべく機能が複数まとまっていた方が優れたデザインと言うように認められています。
デザインと言うと見た目のことを指す場合がありますが、今回は機能についてです。
皆さんがよく目にする機能的なデザインと言えば、テレビで頻繁に見ることが出来ます。
聞いたことがあると思いますが、テレビ朝日系列の「大改造!!劇的ビフォーアフター」という番組で目にすることが出来ます。
よくあるのが収納に関するものです。
例えば階段ですが、階段の段差の部分が収納になっていて、今までとスペースは変わらないのに、収納場所が増えています。
階段に収納の機能が追加されて2つの機能を持つ階段になっています。
また、机やテーブルもよく出てきますね。
机は、机自体の収納性が上がっているものと、机を変形させると別のものになるパターンが多く見受けられるのではないでしょうか。
机の収納性が上がるパターンは、机の形が、壁の窪みにぴったりはまって、押し込むと簡単に机が片づけられたりします。
変形させると別のパターンになるものとしては、机の天板を上に上げるとその下はベッドになっているとかそういうものです。
机+収納性や机+ベッドという二つの機能があるわけです。
他にはテーブルがあり、変形させると小さいテーブルになる、というものもあります。
大テーブルと小テーブルを場面によって使い分ける事が出来ます。
これはそのままで大テーブル+小テーブルの二つの機能があるわけです。
でも、これが単純に二つのものをつっくけたようなごてごてしている形状だと、いいなとは思わないわけです。
美しくない。使いにくそう。
ひとつの自然なものの中に機能が収まっているからいいデザインだと感じるんですね。
一つの言葉に複数の意味を持たせる
言葉の世界でも、こういった思想があって、これは前の記事の予想外は面白い~笑いのメカニズムと考え方~でも話しましたが、一言で意味がたくさんあるものがいいんですね。
上の記事では意図せずに意味が重なると笑いが起きると書きましたが、言葉のデザインの世界では意図をもって言葉を紡ぎだしています。
「機知」と呼んでいる、「ダブルミーニング」や掛け言葉、ダジャレといった類のものです。
JRを使っている人ならおなじみのSuica。Super Urban Intelligent CArdの略ですが、スイスイ行けるICカードの略でSuicaの意味も込められています。そして色合いやマークから野菜のスイカを、イメージしています。スイカはJRの線路がつながっているさまも表しているので、4つ意味がありますね。
また、靴下の「通勤快足」って商品がありますが、これは最初は違う名前だったんですね。
フレッシュライフという名称でした。生活が良くなりそうな感じはしますが、何を指しているかがあやふやですね。
「通勤快足」はもちろん電車の「通勤快速」のダジャレですが、足が快適になるっていう意味も感じられていいネーミングではないでしょうか。
そのかいもあって、売り上げは急上昇。わかりやすい、浸透しやすいってのが重要だと思える事例です。
言葉の重複ははるか昔から
ダブルミーニングに見えなくても、解説されたりしたときにあっ、となるようなそんな気づきのあるネーミングも後からにやりとしてしまいますね。
言葉ということなら、それこそ昔の和歌の時代から掛詞として、表現されていたので、日本人は昔からなじみがある表現方法と言えます。
蛤の ふたみにわかれ 行く秋ぞ 芭蕉
意味・・これから行く桑名や伊勢は蛤の名産地だが、
離れがたい蛤の蓋と身とが別れるように、今
私は、見送りの人々と別れがたい名残り惜し
さを感じながら、しかし、ここで懐かしい人
人と別れて、伊勢の二見が浦を見に行くので
ある。折から季節は秋も終わろうとしている
晩秋の候で、別れの寂しさが一層身にしみて
感じられることだ。
ふたみは ハマグリの蓋と身、またこれから向かう先の二見(地名)と掛かっています。
行く秋は 行くという行動のほかに、秋が過ぎ去るという意味が込められています。
見送りの人々に対してさっとこの句が出るのがすごいですね。
前提は多くの人が知っている事
そもそもの前提がダジャレにあるので、前提の言葉を知らないとああなるほどなあ、と思えません。
下敷きになる言葉は大勢の人が知っている言葉になります。
Suicaの下敷きとなっているスイカは夏の風物詩でもありますから、おおよその人が知っていることでしょう。
食べたことがなくても、テレビのCMやチラシ、インターネット、様々な媒体で見ることが出来ます。
通勤快足の元となった通勤快速は電車を使わない人はわからないかもしれませんが、成人男性用靴下ですから、対象は大人なので、割と知っている人がいてもおかしくありません。
突然ですが、婚活という言葉はもう市民権を得たと思っています。婚活にちなんだチラシが夏にありました。昆虫採集活動で、昆活。
コンタクトレンズのCMでコン活。どちらも10年前に言われたら、「は?」となりそうですが、婚活が浸透してきた現在なら、「ああ、婚活とかけているのね」と納得できます。
昔のダジャレの定番の「布団が吹っ飛んだ」や「猫が寝転んだ」「犬がいぬ」「内容がないよう」なんてものも、一般的に知られている言葉が下敷きになっていて、言いやすいから、流行ったのかもしれませんね。
え、流行してない?
そんなことはないんじゃないでしょうか。
皆さんもこのダジャレはやったことあるでしょう。
お後がよろしいようで。
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