カミナリ様におへそをとられてしまうという話の意味は?俗説の中にある意図を解説。

2019年11月22日

空の勇者たち

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おなか丸出しだったら何が悪い!

というわけで、子供の頃に「おなかを出しているとおへそを雷様にとられてしまうよ」という話を聞いたり、親から聞かされてたりしたことがあるかと思います。

直接はなくても、そんなことを言っているのを聞いたことくらいはあるかもしれませんね。
今回は、なぜそのような話が生まれたのかということをみていきましょう。

健康を守るために生まれた

「カミナリ様におへそをとられてしまう」という話を聞くとどうなるでしょうか。
「ふーん」で終わるかもしれませんが、その続きもあると思います。
もし続くとしたら、こんな感じです。
だから、おへそを隠しちゃいましょうね。
そう、カミナリ様は実際のところはいてもいなくてもいいのですが、天気の悪いときにおなかを丸出しにさせないために生まれた話だったのです。

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そんな話で、おなかを隠そうとするかしら・・・?

そうですね、こんな話をしても、いい大人はおとぎ話のように感じてしまいますし、子供でも小学生以上の子供ならお話として聞いて流して本気で対策する子供はいないかと思います。
じゃあ、どんな人に向けてというと、小学校未満の子供たちということになります。

小さい子供は聞き分けがないのでイメージ戦略

小さい子供を相手にしたことがある人ならわかると思いますが、子供は感情で動きます。

ちょっとした事で怒ったり笑ったり泣いたりとさまざまな表情を見せますね。

そして、その感情は長く続きません。

ものすごく号泣していて、大人の感覚ならあと10分は泣き続けることになるだろうと思っていたような泣き方でも、ちょっと目を放した隙にけろっと治って、もう笑っているということがあります。

こんな子供たちに「おなかを出さないようにしてください」と言っても、長く覚えていられないでしょう。

よほどしつけが厳しいのならともかく、いったことをいつまでも律儀に守ったりは出来ないものです。
まだ十分に言葉を理解できていないと言うこともありますし、その言葉の先にある意味も出来ないかもしれないからです。

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おなかを出しているとおなかが冷えておなかが痛くなってしまうから、おなかを出さないようにしてくださいね。

と言って理解してくれればいいのですが、理解できない、もしくは忘れてしまうことがあります。

そこで、イメージに訴えかける戦略に出ます。

突然ですが、秋田県男鹿市の風習として知られるなまはげはご存知でしょうか。
大晦日あたりに「わりぃ子はいねがー」といって、大きな鬼の面をかぶった人たちが、子供のいる世帯にお邪魔して厄除けを行う行事です。

この時、厄除けの意味合いのほかに教育(子供のしつけ)も含まれています。

なまはげで怖がらせる

恐怖体験を刷り込む

以後、悪いことをするとまたなまはげが来ちゃうよ

子供が悪いことをすることへの抑止力となる

という流れになります。

なまはげに来てほしくない子供たちとしては必死にいい子になろうとしたでしょうね。
想像するとちょっと笑っちゃいます(笑)

カミナリサマの場合も同じ戦略ですね。

おなかを出している

雷さまがおへそを取りに来ちゃうよ(怖がらせる)

来てほしくないからおなかを隠す

おなかを隠させるという目的をこれで果たせるわけですね。

なぜカミナリ様を使ったのか

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怖い対象なら日本には鬼とか、幽霊とかたくさんあるのに、なぜカミナリ様なんですかっ

はい、そうですね、それはカミナリ様の条件が都合がよかった。と言えるでしょう。

  • 雨の日におなかを隠してほしい
  • 出現しても不自然ではない
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怪異が現代に出てきたら不自然でしょうよ

そういうツッコミはあると思いますが、あまり厳密に考えないでいきましょう。

おなかを出さないようにするのは雨の日にこそ気をつけてほしい

いつもおなか丸出しだとしても、その習慣をやめないのは、丸出しでも特に健康を損なわなかったということが言えるでしょう。
健康被害に遭わないのならば、取るに足らない問題ですからね。

その地域や環境に適していない格好だったら、すぐに不具合が出るわけです。

例えば、ロシアで半そで半ズボンで過ごしていたら、なんだかすぐに体調が悪くなりそうな気がしませんか?
あのもっふもふのロシア帽であるウシャーンカを装着してこそロシア感が出てきますし、暖かそうで安心です。

つまり何が言いたいのかというと、雨の日は条件が変わるから気をつけてもらいたい、ということです。

雨が降ると、地面に水分がたまります。そしてその後、蒸発して乾いていくことになりますが、そのときに気化熱によって気温が下がります。

気温が下がると、それまで平気だった気温から、体調が悪くなる気温にまで下がってしまうことがあります。

日本物理教育学会中国四国支部-2009年度支部大会ジュニアセッション発表プログラム 打ち水と周囲の気温の変化より引用
ちょっと自分に都合のいい恣意的なデータになってしまいますが、打ち水あとは、気温の下がる変化が何もしないときより急激になっています。
つまり、雨が降ると降らないときよりも短時間で気温が下がることになります。

短時間で気温が下がると「寒いから重ね着をしよう」とかそれこそ「おなかを出したままにするのはやめよう」と思うまもなく、体が冷えることになりますので、体調を崩しやすくなるのです。

だから、雨の日に気をつけてもらいたいんですね。

出現条件が比較的ラク

怖いものはたくさんあれど、出現条件がそれほど厳しくないのが、カミナリ様の使いやすいところです。

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使いやすいって、仮にも神様ですよ?!

仮でもなんでもないのですが・・・。

鬼って、実体化していて、それでいて、どこかに住んでいるというイメージがあります。
となると、普段身の回りにいないとなると、どこかから遠出してきてわざわざ子供のへそだけとっていく、ということになります。
もっと家財をとって大きく暴れて帰って行くイメージがあります。

それに、そんな遠くから悪いものがやってきたら、家に来る前に大騒ぎになってしまいますよね。

無事に家に来てくれるのはどれくらいいるのでしょうか。

次に幽霊ですが、日中はなんだか出現しづらそうです。

明るいうちから出てきてもかまいませんが、日光に照らされて、影が薄くなりそうです。
影が薄くなるとなんだか怖いって気持ちは起きませんし、何よりも出てきても気がつかれることがなさそうです。ファイト。

その点、雷さまなら

  • 雨降ってたら出てきそう
  • 空飛んでそうで距離とか関係なし
  • 神様だからへそを取っていく、という超能力があってもおかしくない

などなど、設定に無理がないのです。

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設定って、そんな

だから、あまりにもうそっぽい話ではなくて、多少リアリティがあったほうが受け入れやすい、納得しやすいのです。

まとめ

というわけで、雷さまがおへそをとって行くのは、子供を健康被害から守るため、でした。

一文にすると、意味が変わってきてしまうかもしれませんが、それもちょっと面白いからいいですかね。
みなさんもおなかを壊さないようにおなかぽんぽんを出したままにしないようにしましょうね。

身をかがめることで、落雷にあうのを防ぐため?(19年11月22日追記)

お腹を隠すというしぐさには体を丸めるという動作も含まれます。
体を丸めるとどうなるでしょうか。
しゃがんで、小さくなると低くなりますよね。

高い木や避雷針に雷が落ちやすいように、高い低いかで言うと高いところに雷が落ちやすくなります。

人の体の大小なんて木や鉄塔なんかに比べたら微々たるものですが、それでも、低くしていたほうが良いという事が経験的にわかっていたのかもしれませんね。



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