啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の第8話「若きおとこ」のネタを解説
今回の啄木はいつもと違ってとげのある言葉や表情が多かったですね。。
解説は個人的な感想ですので、間違いがあればご容赦くださいませ。
第八首 若きおとこ
冒頭の処刑シーン |
捕まっているのが啄木の顔をしているのでわかりづらいですが、啄木が読んでいる本の著者ドストエフスキーになり切っている、というシチュエーション。
ドストエフスキーは、フョードル・ドストエフスキーで19世紀のロシアの作家です。 ドストエフスキーは28歳の頃に革命思想のサークルに参加していた罪で、死刑宣告をされ、実際に銃殺刑寸前まで行きましたが、執行寸前に皇帝ニコライ1世から特赦(特別に許されること)を受け、死刑をまぬかれます。 その時の描写ですね。 ドストエフスキーは死刑にはなりませんでしたがその後は4年もシベリアで服役することになります。 江崎慎平総監督のイメージだそうです。
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啄木 「この中に死の宣告からよみがえったドストエフスキーの事が描かれています。」 |
おそらくは「死の家の記録」という長編小説。 長編小説となっていますが、ドストエフスキーの獄中での経験をモデルにした体験記。
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啄木 「京助さんは出ててもらえますか」 |
肺結核を自覚していたとしたら、金田一を感染させないため。 |
啄木 「夏目先生は修善寺の旅館で倒れたそうです」 |
夏目漱石は1910年(明治43年)6月に執筆中に胃潰瘍で入院。
1910年8月に門下生の勧めで伊豆の修善寺に療養にでかけるも、10月に800gいに及ぶ大吐血を起こし、瀕死の重体に。 そのことを言っています。
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速薬命散 |
この名前の薬は検索では引っかかりませんでした。
「命を散らすなんてとんでもない!」という声も聞こえてきそうですが、「散」は薬の形状の事を言っています。
粉末状のお薬の事を「散」と言っています。 また、「病を散らす」の意味もあり、急病を治すときに即効性のあるお薬とも言えます。 CMで聞いたことあるかもしれない龍角散も粉末状のお薬ですね。
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階段を降りる金田一 |
部屋を飛び出る速度の割には、階段を下りる速度が遅いです。 これは、昔の建物には建築基準法がなく、段差がかなりある建物があります。 現在の建築基準法では階段一段が最大でも23cmになります。 1段飛ばしだとその差は46cm。何とかなりそうです。 でも、作画基準だと、2段で金田一の股下あたりまでの高さがあります。 これを急いで下りるのは怖いでしょう。なので、ゆっくり慎重に急いで下りてるんですね。 |
山師は山で果てる |
山師は、鉱脈を見つける人の事。地中に埋まっている物を見つけるので、大変でしたが、一発あてた時の見返りは大きいものです。
そんな山師は、鉱脈を見つけるために、山を歩き、山の事は熟知しているはずなのに、逆に「山の事を知っている。山には慣れている」という自信過剰な気持ちと油断してしまう気持ちから、山で倒れてしまうという意味になってしまいます。 猿も木から落ちると似ている意味。
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よく笑ふ若き男の 死にたらば すこしはこの世の さびしくもなれ |
よくわらう若き男は啄木の事を指しています。
啄木はよく笑う明るい人物として周囲から思われていたんですね。アニメ中でもあまり沈んだりする描写がありません。 そんな自分が死んだとしたら世の中は寂しく思ってくれるのだろうか。いや、きっと変わらないのだろうな。 と思って、自分のちっぽけさを感じている歌です。実際には、自分の才能が世に認められず、苦しんでいた時期に詠んだ歌です。 自分の才能に明るい未来を見いだせない時は絶望的な気分になります。そこで今自分が死んだとしたらどうなるだろう・・・と考えることは誰にでもあるのではないかと思いますね。 |
啄木 「むこうじゃアドレッセンス・・思春期というらしいな」 |
むこうは英国。英語でって意味ですね。
この時に、啄木は環の事を男性だと思って接しています。 そして、今までは些細なことを見逃さずにいた啄木でしたが、環さんの性別を見逃すあたり、弱っているのかもと思わせられます。
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環さんの服装 |
環さんの性別を見抜けなかったと言いましたが、この時代の女性はほとんどが着物。
今まで出てきた佳代さんもお季久さんもみんな着物でした。 次のコウモリ人間のシーンも女性はみんな着物です。 「洋装は男性が着るもの」というのが一般的だったのです。 なので、洋装をしているのは男性、声が女性的であっても男性。そういう思い込みから、判断をしてしまったのかもしれませんね。 ちなみにブラジャーも戦後からの普及なので、この時代にはありませんでした。
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愁ひある 少年の眼に羨みき 鳥の飛ぶを 飛びてうたふを |
啄木が体調がよくないので、自由に飛べる鳥をうらやんでいる歌のように聞こえます。 啄木は中学時代に初めて上京しますが、その時に感じた地元との違いに圧倒される様を詠んだ歌とも言われています。 |
啄木 「だめですね からきしです とりつくしまもありません」 |
環さんへの思いがどうにもならないことを言っている。
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環 「実はたまに人の気配を感じるんです」 |
屋根裏を見ている環さんと啄木。
屋根裏からの事件というと、平井太郎(江戸川乱歩)の「屋根裏の散歩者」があります。 今回の事件と関係あるかはまだわかりませんが、屋根裏からの殺害も可能!という事になりますね。屋根裏の散歩者も青空文庫で読めますので、興味がある方はどうぞ。 屋根裏の散歩者 |
ゆべし(柚餅子) |
柚餅子は柚子を加工した加工食品、あるいは和菓子を指すが、ここではクルミ入りの餅菓子である。 ちなみに作画が似たものとして「きんつば」かとも思いましたが、加世さんに「加世さん、お見舞いのゆべし、おいしかったです。ありがとう」と言っていたのでゆべしですね。 |
サブタイトル「若きおとこ」 |
途中で啄木が詠んだ |
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