啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の第5話「にくいあん畜生」のネタを解説

2020年5月26日

啄木鳥探偵處の第5話の解説をしていきます。

毎回毎回、啄木の行動にぐったり来る視聴者が多いのではないかと思いますが、今回も受け入れられる人とそうでない人がはっきりしそうな回ですね。

解説は個人的な感想ですので、間違いがあればご容赦くださいませ。

第五首 にくいあん畜生

 

にくいあん畜生1
北原白秋の「紺屋のおろく」
という詩。
年上のお姉さんに気持ちを引かれつつも、相手にされないことから、感情が裏返って、最後には死ねばよいなどと思ってしまう、好きな子にいたずらをするような心理。以下、詩、全文。

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にくいあん畜生は紺屋のおろく
猫を擁(かか)へて夕日の浜を
知らぬ顔してしやなしやなと。
にくいあん畜生は筑前しぼり、
華奢(きゃしゃ)な指さき濃青(こあお)に染めて、
金の指輪もちらちらと。
にくいあん畜生は薄情な眼つき。
黒い前掛(まえかけ)毛繻子(けじゅす)か、セルか、
博多帯しめ、からころと。
にくいあん畜生と、擁へた猫と、
赤い入日にふとつまされて、
潟に陥(はま)つて死ねばよい。
ホンニ、ホンニ……
にくいあん畜生2

演劇の中での劇中歌。

芸術座『生ける屍』の劇中歌

アニメ本編とは関係ないですね、きっと。


北原白秋
一、
にくいあん畜生
は おしやれな女子

おしやれ浮氣
で薄情ものよ
どんな男
にも好かれて好いて
飽いて別れりや知らぬ顏

二、
飽いて別れりや別りよとまゝよ
外に女子が無いじやなし、よ
何をくよくよ、明日もござる
男後生樂(ごしょらく)、またできる
三、
男後生樂、踊らぬ奴は
やもめ男か、いくぢなし、よ
何をくよくよ、踊りさへをどりや
すぐに女子も、來てたかる
四、
女子故なら身も世もいらぬ
どうせ名もなし、錢もなし、よ
まゝよ自棄くそ、梵天國(ぼんてんごく)ときめて
今日も酒、酒、明日も酒
五、
酒だ、酒、酒、まだ夜は明けぬ
明けりや工場の笛が鳴る、よ
まゝよ自棄くそ一寸先や闇よ
今宵極樂、明日地獄
啄木が読んでいる

北原白秋 邪宗門

われは思ふ、末世の邪宗、切支丹(キリシタン)でうすの魔法。

黒船の加比丹(かひたん)を、紅毛の不可思議国を、色赤きびいどろを、匂鋭(においと)きあんじやべいいる、南蛮の浅留縞(さんとめじま)を、はた、阿刺吉(あらき)、珍タ(ちんた)の酒を


見目(まみ)青きドミニカびとは陀羅尼誦(だらにず)し夢にも語る、
禁制の宗門神を、あるいはまた、血に染む聖磔(くるす)、芥子粒(けしつぶ)を林檎のごとく見すといふの欺罔(きもう)の器、
派羅葦僧(はらいそ)の空をも覗く伸び縮む奇なる眼鏡を。切支丹でうす=キリスト教の神
加比丹=船長
びいどろ=ガラス
あんじやべいいる=オランダ石竹
浅留縞=インドのサントメ産の綿留繊
阿刺吉=蒸留酒
珍タの酒=赤ブドウ酒

ドミニカびと=カトリックのドミニカ派の僧侶
陀羅尼=梵語で、ここでは祈祷文
聖磔=十字架
欺罔の器=顕微鏡
派羅葦僧=天国
伸び縮む奇なる眼鏡=望遠鏡
こちらのページより引用しました。
歯磨きに降りた啄木が持っている桶の中に入っているもの
歯ブラシ、湯呑、粉の歯磨き粉。
歯磨き粉はこんな感じ。
歯ブラシは固いので、啄木が歯磨きしていた時はあんなにゴリゴリした音になっていたんですね。
こちらの画像2点は絵・ふわふわ点点様より引用しました。
大正~昭和の紙ラベル博物館様より引用。
わがために
なやめる魂をしづめよと
賛美歌うたふ人ありしかな

詩の意味
悩んでいる人の魂を穏やかな気持ちにさせようと、賛美歌を歌う人があった。

ここでは悩んでいる啄木のために、金田一が言葉を尽くして、啄木を慰めようとしている姿をあらわしている。

「きのう君を思って詠んだんだ」としれっという啄木は、回りくどいけれど、金田一に感謝しているってことを言いたかったんだと思います。


吉井
「朝ごとに かならず同じ浜辺にて 会えば笑ひてゆく少女(おとめ)あり」
浜辺はここでは新聞縦覧所のことで、少女は季久さん。

毎日顔を合わせるたびに笑顔を見せてくれる季久さんを思っている。


啄木
「あたらしき 洋書の紙の 香をかぎて 一途に金を欲しと思ひしが」
本を買って、要所の匂いを嗅いでいたら、「あ~お金が欲しい」と思った。
啄木が買った本

ハイネの詩集で1話で金田一が売ってしまった「ブッフ デル リーデル」

金田一に返した描写はありませんでしたが、啄木なりに金田一に申し訳なく思って、買って返そうかと思ったのかと。

本の行方はわかりません。

画像はこちらのページから引用しました。

野村胡堂
「あのこは俺の大事なものを盗んでいっちまったんだ・・・。
俺の心さ」
野村胡堂は銭形平次の作者

銭形平次はルパンの銭形警部のモチーフ

カリオストロの城の銭形警部の言葉
「奴はとんでもないものを盗んでいきました
貴方の心です」

そこから拝借。
時系列はおかしいですが、一連の流れにつながりを持たせて面白いですね。

 

啄木
「大いなる
彼の体が憎かりき
その前にゆきて
ものを言ふ時」
 

上司の前でなんだか気後れしてしまったのは、上司と校正係という役職の違いに気後れしたのではなく、彼の体の大きさに気後れしてしまったのだ、というちょっと言い訳じみた詩。

朔太郎
「ただ願ふ
君の傍(かた)へに
ある日をば
夢のやうなる
その千年をば」
君のそばにいることを願う、夢のようなその長い時間を。
若山牧水
「山を見よ 山に日は照る
海を見よ 海に日は照る
いざ唇(くち)を君」

 最後の「いざ唇を君」は「キスしましょう」という誘いの文句。

直接的な言い方で情熱的な牧水の恋に対する態度が分かりますね。

 

朔太郎が上の詩で夢の実現を願うという、やや待ちの姿勢に対して、こっちは相手に呼びかけて積極的に促しているとも言えます。

朔太郎と牧水の恋のスタンスの違いでしょうか。

キスしましょうという誘いの詩に合わせて、アニメの画面もキスしてる描写ですね。

啄木
「行きましょうか、十二階下へ」
新聞縦覧所の事を指していて、つまりは売春を行っているところへ行こうと誘っている。
「けりをつける」と言っているのは金田一の童貞を何とかすること。

若山牧水
「酔えばみな
恋の埃のざれ言に 涙も混じる
若人たちよ」
みんなで酒を飲んで恋バナをしていると、熱くなって、涙が出てくるほどの情熱的な若者たちだなぁ

ってことかしら。

おえん
「花巻の出なんです」
花巻は岩手県にある地名。
啄木とは同郷ということ。
牧水
「尋ね来れば
たまたま友がほろ酔いの
恋うれしき
朧夜(おぼろよ)の月」

尋ねてきたら、友達が飲んでいて、その友達の恋が嬉しく感じた朧月夜のことよ。

萩原朔太郎
「猫」
まっくろけの猫が二匹
なやましいよるの屋根のうへ(上)で
ぴんとたてた尻尾(しっぽ)のさきから
糸のやうな(ような)みかづきがかすんでいる
『おわあ こんばんは』
『おわあ こんばんは』
『おぎゃあ おぎゃあ おぎゃあ』
『おわああ ここの家の主人は病気です』
啄木
「やっぱり同郷のものは心の根っこでつながっている気がします」
これを口にしたシーンは、先の朔太郎の詩の「猫」を詠んだ後なので、「猫」と「根っこ」がかかっている?
啄木
「ふるさとを出(い)で来し子等(こら)の
相会(あいあ)ひて
よろこぶにまさるかなしみはなし」
故郷を出てきた、自分(啄木)とおえんが、遠い異国の東京で出会うことができて、故郷を離れた悲しさよりも、出会うことが出来たうれしさの方が勝っている。
朔太郎
「殺人事件」 

詩のタイトルが「殺人事件」
これから殺人事件が起こるであろうことを予感させる導入。

以下、全文
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とほい空でぴすとるが鳴る。
またぴすとるが鳴る。
ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて、
こひびとの窓からしのびこむ、
床は晶玉、
ゆびとゆびとのあひだから、
まつさをの血がながれてゐる、
かなしい女の屍体のうへで、
つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。
しもつき上旬(はじめ)のある朝、
探偵は玻璃の衣裳をきて、
街の十字巷路(よつつじ)を曲つた。
十字巷路に秋のふんすゐ、
はやひとり探偵はうれひをかんず。
みよ、遠いさびしい大理石の歩道を、
曲者(くせもの)はいつさんにすべつてゆく。

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