啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の第4話「高塔奇譚」のネタを解説

2020年6月1日

空の勇者たち

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啄木鳥探偵處の第4話の解説をしていきます。

今回の話は、原作では1回目のお話です。
ここから啄木鳥探偵處の歴史は始まった。
とも言えなくもないです。

5回で終わりになりますが。

解説は個人的な感想ですので、間違いがあればご容赦くださいませ。

第四首 高塔奇譚

国史大辞典

1908年(明治41年)に吉川弘文館から刊行された日本で最初の捕獲的な日本史辞典。(Wikipediaより)

作中は1909年頃の話なので、国史大辞典は出版されてから1年ほどの出たばかりの本。

日本の歴史を扱う本というのは初めてであったために、人気が出た。

初版は本文2,400ページと付録230ページの年表と46葉の参考附図の別冊で構成。
かなりの重量の鈍器である。

啄木に手渡したお札
一円券
一円券は、2種類作られ、旧一円券、改造一円券として知られている。

この時金田一が手渡したお金は改造一円券。

紙幣の後面の「one yen」が端に寄っているのが改造一円券である。

 

改造一円券と言っても、違法な一円券ではなく、改良したバージョンと考えてよい。

 

もとの旧一円券は、強度を高めるために材料の中にこんにゃくが入っていて、それにより、虫やネズミに食べられてしまうという害が発生したために、その対策として新しい改造一円券が作られた。
面白いエピソードですね。

旧一円券
改造一円券
wikipediaより引用
ユモレスク

ジャンルという意味でも使われますが、ここでは曲名の事と思われる。

ドボルザークの「ユーモレスク」が有名。

このアニメの次回予告の時のバイオリンの曲がユーモレスク。

もしかして、啄木が弾いていたのかも。

啄木はバイオリンやピアノをたしなむ文化人としての側面もあったようです。
ワグネル
ワグナー、ワーグナーの日本での呼び方。
ヴィルヘルム・リヒャルト・ワグナーの事を指し、彼の作曲した曲の事を指す。

ワグネルの書いた著作に、啄木が注目していたともされていて、音楽はその延長上で挑戦しようとしたけど無理だった、という事か。

十二階 

凌雲閣が十二階建てであったことから、通称でそう呼ばれていた。

当時、十二階建ての凌雲閣が日本で一番高い建物であり、十二階という言葉が凌雲閣にしか当てはまらなかったことことから、定着したものと思われる。

見返したら1話でもこの十二階は使われてましたね・・・。

金田一
「ぼくはお腹もすいてないし2つずつで」
 
さっき金を貸したばかりの啄木がそれを使って飲食している事へのけん制。
啄木
「詩も短歌も小説も所詮は作り事ですから」
金田一
「えっでも、歌人と探偵は似ているって・・・」
『歌人と探偵は似ている』は1話で啄木が言った言葉。
啄木
「彼には3年前不来方に帰る際、とても世話になりましてね」

不来方(こずかた)

現在の盛岡の当たりを指す言葉。
啄木は岩手県南岩手郡日戸(ひのと)村出身であるが、これは現在の盛岡市日戸にあたる。

正式な地名としてはないものの、長らく使われた言葉として、盛岡方面を指す雅称となっている。

新潟を越後と言ったりするような感覚か。

六郎
「人の足が十二階や活動写真から外に向いて」
活動写真
映画の事。この時代の映画の呼び方は活動写真であった。

十二階=凌雲閣は1911年に階下に「十二階演芸場」を新設。
凌雲閣は明治末期には客足がまばらになり、経営難になるがそのテコ入れで演芸場を設置。
十二階そのものよりも、演芸場に目を向けてくれたという意味。

 

啄木
「エンコの六郎さん」

エンコは公園をさかさまにして → 園公 → エンコ

この公園は浅草公園の事を指し、そこから浅草の人という意味。
「浅草の六郎さん」って意味。

 

浅草っ子や芸人さんがよく使っていたとされる。
この回では、「エンコの(一帯を束ねている)六郎さん」という意味も。

 

つまくれない
ホウセンカの異名。

でもありますが、爪の化粧、すなわちネイルを指す言葉としても使われています。

このこの時代の化粧は、白くする→おしろいなど、 黒くする→おはぐろなど、赤くする→口紅などの白黒赤の色で化粧していました。

 

赤い染料の材料としてホウセンカを使ったことから、この名前が付いたのではないでしょうか。

爪紅と書いて「つまくれない」。他のいい方としては「つまべに」もありました。

ホウセンカのwikipediaには「爪にホウセンカの汁を塗り、初雪が降るまで色が残っていたら恋が実ると言う伝承もある。」とありますので、こう言った伝承から、山岡の小指の爪のつまくれないは来ているのですね。 

うす紅に
おもいを残す鳳仙花(ほうせんか)
息ふきかけてみし
雪待ちの爪

うす紅の注した自分の指に気持ちが宿っているし、鳳仙花の面影も残している。

その爪に息を吹きかけ雪が降るのを待っている。この思いを成就させるために。

 

息を吹きかけるのは、爪に変なものがくっついて、紅色がはがれていくのを防ぐためでもあるし、雪が降りそうなほどの寒い季節だったので、指を温めていることの表現にもなっている。

後で下に挿入しておきますが、啄木鳥探偵處の公式ツイッターで、原作者のオリジナルの歌だということが分かります。

 

幻灯機
スライド写真のようなものの原型機。
ガラスに印刷したものを投影して映し出す。
英語ではmagic lantern
活動写真もかつては幻灯機の事を指していたが、時代とともに映画を指すようになっていき、意味がスライドしていった。

幻灯機wikpediaより引用
六郎の背中の紋 丸に一文字のようにも見えますが、一の部分が赤くなっています。

これにどういった意味があるのかがちょっとわかりませんでした。

「一」を使った紋は「トップになる」などの意味が込められていて、「浅草でトップ」なのだとしたら、浅草を仕切っていた六郎にはぴったりの紋ですね。

山岡の爪 啄木の3年前の回想の時に、既に小指が赤く塗られていました。

それが今も塗られていたのは、雪なんか関係なく恋が成就するまでつけていようと思ったのか、それとも、3年前から東京に雪が降らなかったのかのどちらなんでしょうか。

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