啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の第7話「紳士盗賊」のネタを解説
金田一と啄木が仲直りできてよかった・・・。
解説は個人的な感想ですので、間違いがあればご容赦くださいませ。
第七首 紳士盗賊
サブタイトルの紳士盗賊 |
江戸川乱歩(平井太郎)の「二銭銅貨」に出てくる紳士泥坊をもじったもの。
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江戸川乱歩の二銭銅貨 |
・新聞記者に変装している
・5万円の給料支払いに5銭円の懸賞金→盗まれた金額の1割 ・「私」が置いた二銭銅貨から謎を推理。 ・二銭銅貨の中から暗号文 ・主人公と相棒が貧乏江戸川乱歩の二銭銅貨がモチーフですが、作中ではこの出来事をもとに平井太郎が二銭銅貨を書いたことになっているんでしょうね。でも、3話にて平井は原稿用紙に「二銭銅貨」と書き記しているので、アニメが時系列どおりに話を描いているとちょっと矛盾が生じていたりします。 |
東京朝日新聞 |
現・朝日新聞の 東日本地区での旧題 |
足立のズボンの足元 |
ふくらはぎのあたりから足に巻かれている。 |
足立 「とんでもありません」 |
「とんでもない」で一語なので、「ない」を変化させるのは本来おかしい。
「とんでもない」の丁寧な言い回しは「とんでもないことでございます」 「とんでもございません」という言い回しも文法的にはおかしいが、問題ないとされる認識が広がっている。
「失笑」みたいに本来の意味や使い方とは違う意味に変化していくところに言葉が生きていると思わされますね。
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足立の吸っているフィガロのたばこ |
戦前まであったエジプトのキリアジ社の葉巻たばこ。 江戸川乱歩(平井太郎)の二銭銅貨にも出てくる。二銭銅貨では「高価な埃及(エジプト)の紙巻煙草」という表現。 刑事の捜査段階では「FIGARO」と表現されている。 |
マッチ箱 |
富士が描かれている。 |
室内でタバコと帽子 |
このあたり時代の差を感じますね。
今なら怒られそうですし、室内禁煙です。
僕達の現代の作法も先々の未来から見ると古臭くなるんでしょうね。
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足立のメモの取り方 |
この時代は基本的に縦書き。 |
縦覧所張り紙 「竹本綾之助 ○○○(解読不能) 来たれ堂摺連!」 |
竹本綾之助は女義太夫の名跡。名跡というのは、代々継がれる名前。
歌舞伎では「中村勘九郎」が有名。「〇代目中村勘九郎」のような言い方をします。 女義太夫というのは、女性が義太夫語りをすること。娘義太夫とも言われた。
女性の芸人が禁止されていた時代があり、軽んじられていた。 1877年(明治10年)の寄席取締規則によって、女芸人が認められるようになると人気に火が付く。 竹本綾之助の初代は一度引退しており、1908年(明治41年)に復帰。アニメの中の時代は明治42~43年の時期の事なので、復帰した直後。
来たれ堂摺連!は「堂摺(どうする)連(中)」の意味。
義太夫語りの最中に「どうする」の掛け声をかけて、盛り上げていた客。 現代風に言うとアイドル(ここでは女義太夫)の追っかけである。 竹本綾之助が復帰したからみんなで集まろうと呼びかける張り紙。 解読不能の所はおそらく集まる場所が書いてあるんだと思います。 |
芥川が食べているカレー |
新聞縦覧所の見えるところに貼られているメニューにカレーのメニューはなかったはずですが、新メニューかな。 |
吉井 「5000円もあれば一生遊んで暮らせますよ」 |
明治の初期と後期で円の価値は変わってきますが、1円が現在の2万円~1000円くらいとのこと。
明治後期の方で1000円に近くなっていったようです。 1円=現代の2万円の価値なら5000円は1億円の価値がありますが、1円=現代の1000円なら500万にしかならないので、1円=現代の2万円くらいの感覚でしょうか。 |
やえちゃん |
季久さんは前回捕まっちゃったので。 |
コバタtobaccoの看板 |
tobaccoはたばこの英語表記。 たばこはもとはスペイン語またはポルトガル語の「tabaco」から。コバタはお店の名前とかではなく、右から読んでタバコ。 tobaccoはタバコの葉そのものを指し、cigaretteは紙巻きたばこを指します。
江戸時代からたばこを刻んでキセルで吸う文化があります。 一方、紙巻きたばこは明治から製造販売されたものなので、タバコの葉と、紙巻きたばこを両方扱う店が多くて、cigaretteではなくtobaccoになっているのではないかと。 |
風明館 |
東京都文京区に鳳明館というお宿がありましたが、こちらのことでしょうか。
「文豪缶詰プラン」などというちょっと変わったプランをやっていたこともあるようです。
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咳をする啄木 |
啄木の死因は肺結核。
肺結核の症状に咳嗽(がいそう)、つまりは咳がある。 この頃から病気に侵されている描写。 |
お風呂でT.M.RevolutionのHotlimitみたいな恰好をしている人。 (黒の前掛けをしている人) |
三助(さんすけ)と呼ばれるお風呂で働く男性従事者。
お客の背中を流したり、お風呂の薪をくべたり、掃除したりする。 なお、女性の体を洗う事もあったようです・・・!
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まるみやで居眠りしているおばあさんの後ろの商品 |
たばこ。
昔のたばこは缶に入れられて売られていました。 |
差し入れ屋 |
差し入れの語源として
「拘置・留置されている者に、外部から食べ物や必要な品物を届けること。また、そのもの。 」とあります。 留置所・拘置所に物品を届ける場合はルールがあり、そのルールに沿った物しか届けることが出来ません。
自殺防止・犯罪の隠ぺい防止・外部との連絡防止などいろいろな目的があります。 現在も差し入れ屋として、営業しているお店がありますので、拘留された場合は是非ご利用ください!
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平井 「おびのこのようなもの」 |
帯鋸(おびのこ・おびのこぎり)。二銭銅貨に仕込めるくらいなので、針金にノコギリの歯が付いたようなものを想像してください。 |
暗号文 |
シマチンイグユドサ 二銭銅貨に挟まれていたので二文字飛ばしに読みます。 シマチンイグユドサ シンユウドウ カラ コドウグ ノ サツ ヲ ウケトレ ウケトリニン ハ タガネ ハジメ |
二銭銅貨での暗号文 |
二銭銅貨では南無阿弥陀仏を使った暗号文でした。 陀、無弥仏、南無弥仏、阿陀仏、弥、無阿弥陀、無陀、弥、無弥陀仏、無陀、陀、南無陀仏、南無仏、陀、無阿弥陀、無陀、南仏、南陀、無弥、無阿弥陀仏、弥、南阿陀、無阿弥、南陀仏、南阿弥陀、阿陀、南弥、南無弥仏、無阿弥陀、南無弥陀、南弥、南無弥仏、無阿弥陀、南無陀、南無阿、阿陀仏、無阿弥、南阿、南阿仏、陀、南阿陀、南無、無弥仏、南弥仏、阿弥、弥、無弥陀仏、無陀、南無阿弥陀、阿陀仏、 これは南無阿弥陀仏の6文字が目の不自由な方が使用する点字と対応している。それによって解読することで、暗号文が解ける。 が、初版では暗号文が間違っていて、暗号が解けないようになっていた。 二銭銅貨は青空文庫にありましたので、興味がある方はこちらからどうぞ。 |
金田一の似顔絵を印刷したお札 | 冒頭の内田印刷所での印刷を見て思いついた可能性あり |
いつしかに 情をいつはること知りぬ 髭を立てしも その頃なりけむ |
いつしか気持ちを偽ることを覚えてしまった。ひげを生やしたのもそのころだったなぁ。 本当は仲良くしたいのに、意固地になってしまった自分を振り返っているんじゃないかと思います。ひげ生えてませんが。 |
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